ダンテの森    
16 Dec 2013   11:55:47 am
臨床環境学
地球を患者に見立てて病気の原因と治療法を研究する学問
名古屋大、国際シンポジウム

 名古屋大学大学院環境学研究科で今日から開催される国際シンポジウムに「ファクター5」の著者・ヴァイツゼッカー博士が来日するので、ブログ管理人も今日からこのシンポジウムに参加の為に名古屋に行く。臨床環境学とは聞きなれない学問であるが、要するに文系・理系を問わず学際的に環境問題を扱おうとするものである。以下は、その説明を転載する。

 環境学の研究は、非常に多くの分野からなります。地球温暖化を予測する気候学の研究、汚染物質を除去する化学工学の研究、低炭素社会を実現するための経済学の研究などなど、枚挙に暇がありません。これまで、それらの研究は、ともすればバラバラに行われ、異なる分野の研究者間の協力は必ずしも進んでいませんでした。本グローバルCOEプログラムでは、環境学を「診断型分野」と「治療型分野」の2つに大くくりにしていますが、分野間の意志疎通の停滞は、「診断を無視した治療」や「治療の役に立たない診断」など、環境問題の解決には程遠い状況を、環境研究の現場で、しばしば作り出してきてしまいました。深刻化する環境問題を真に解決していくためには、今こそ、環境学を構成する多数の分野を統合していく必要があります。

 では、どうすれば、環境学の統合が可能なのか。我々は、まず、異なる分野の研究者が、環境問題が生じている現場で具体的な問題を共有し、互いに協力し合って問題の原因を解明してその解決策を検討し、解決策の実行を通じてさらに問題を深く理解していく、その一連の取り組みこそが、環境学の統合に最も有効であると考えています。それが、臨床環境学です。臨床環境学では、単に名古屋大学の研究者だけではなく、国内では、行政やNPOなど、地域で環境問題に関心を持つ多くの人々と、海外では、現地のカウンターパート機関などと、密接に協力して、問題の解明から解決、事後評価にいたる、一連の取り組みを進めていきます。

 臨床環境学を実践していくための具体的なエリアとして、本グローバルCOEプログラムでは、大きく3つの領域、即ち、「伊勢湾流域圏」、「北東・東アジア」、「東南・南アジア」を対象として、研究計画の立案を進めています。それぞれの地域では、既に、名古屋大学の多くの研究者の手による「診断・治療」、「文系・理系」にまたがる様々な環境学の研究実績があり、それらを土台として、多分野の結集による統合的な環境学の創造を進めていきます。上記の3つの領域は、それぞれ順に、「経済が成熟したエリア」、「高度成長期にあるエリア」、「これから開発がすすむエリア」に相当し、その段階に応じた異なる問題群が存在すると共に、地球規模の環境問題や経済のグローバル化の進展によって、エリア間で共通した問題も顕著になってきています。

 臨床環境学の研究では、個別の地域における具体的な問題に協力して取り組むことで、環境学の多分野の実践的な統合を図ると同時に、臨床の現場を超えた知、すなわち地域間・問題間で共通する課題(=環境問題の基底構造)を、基礎環境学における課題別講究の取り組みと協力して、明らかにしていくことも、目指しています。

名古屋大環境学研究科URL: http://w3serv.nagoya-u.ac.jp/envgcoe/index.php
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15 Dec 2013   10:23:55 pm
原発主義の経産省
原発新設資金を8割温存 会計検査院の削減指摘など、どこ吹く風
東京新聞電子版TOKYO Web 2013-12-15

 原発新設のため経済産業省資源エネルギー庁が積み立てている資金が、東京電力福島第一原発事故後に会計検査院から大幅削減を求められながら、現在も八割程度が残っていることが分かった。検査院の意見に法的拘束力はないものの、省庁は指摘に従って予算の使い方や制度を改めるのが通例。エネ庁は指摘を軽視し、資金を温存した。 (上野実輝彦)

 問題の積立金は「周辺地域整備資金」。原発を新設する際、地元自治体への支払いに充てるお金。国民が電気料金を支払う際に納める電源開発促進税が財源になっている。

 エネ庁は原発事故後の2011年度当初も新設する原発が14基あると見積もり、1231億円を積み立てた。その後、このうちの500億円は原発事故対策費などに充てるため一般会計に繰り入れられた。

 検査院は、事故により原発新設を見直す動きがあることなどを理由に、資金は14基中3基分しか必要ないと主張。2011年10月には、残りの731億円のうち、当面必要な額は73億円程度で、650億円余を減らせるとの報告をまとめた。

 エネ庁は指摘を受けた後、資金の積み増しをやめて支出しかしていない。だが、2013年度当初で資金は589億円も残り、検査院が求めた大幅な削減はできていない。

 検査院が資金の必要な原発の選び方も見直すよう求めても、エネ庁は資金を使う対象となる原発の数を従来の基準で決めている。

 エネ庁電力基盤整備課は「指摘を受けた後は資金を積み増していないし、額そのものは減っている。資金対象の原発の選び方を変えていないのは、原発を新設するかどうか、具体的な政府の方針が決まっていないためだ」と説明している。

 会計検査制度に詳しい日本大の有川博教授(公共政策)は「検査院の指摘に対してほぼゼロ回答というのは極めてまれなケースで、誠実な対応ではない。財政状況を考えればいったん国庫に戻すのが筋だ」と述べた。

原文URL: http://www.tokyo-np.co.jp/article/politics/news/CK2013121502000103.html

 以上が東京新聞の記事であるが、この経産省の動きは現在政府が来年1月に閣議決定する予定のエネルギー基本計画が原発をエネルギーの基本にするとしているものを見越した措置である事は間違いない。ASEAN諸国に原発を売り込みたい政府は、どんな事をしても原発から離れる気はない。経済成長しか考える事ができない硬直した経済至上主義者達には、地球環境のことなど全く目に入らぬものらしい。
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14 Dec 2013   12:35:07 pm
「死の商人」への道
軍産複合体を育てることが経済成長の早道と考える日本政府
ブログ管理人

 ブログ管理人が得た情報によると、トルコとの原発契約には使用済み核燃料の処理方法に核拡散防止条約に抵触する部分がある事がリークされそうになり、政府と自民党は急きょ契約文書を見直したとの事である。このような情報のリークが今後おきないようにと、特別秘密保護法案を大急ぎで作ったと思われる。

 安倍政権が今行っているASEAN首脳への、軍備、安全保障システム、原発などの売り込みの為には、どうしても特別秘密保護法の成立が必要であったのだろう。やはり、経産、外務、財務、防衛の各省の官僚たちが書いたシナリオである公算が強い。

それをいみじくも証明するような記事が産経新聞電子版11月23日に掲載されていた。以下がその全文である。

原子力協定締結 国会承認困難に トルコ、UAE輸出に影
SankeiBiz 2013.11.23

 「日の丸原発」輸出を可能にするトルコ、アラブ首長国連邦(UAE)との原子力協定は今国会での締結承認が困難となり、来年の通常国会以降に持ち越される公算が大きくなった。特定秘密保護法案などを扱う衆院特別委員会の審議を与党が優先させ、衆院外務委員会での審議時間が十分確保できなかったためだ。原発輸出交渉に影を落とすとの懸念も出ている。

 原発輸出は、安倍政権が掲げる成長戦略の柱だ。特にトルコに対しては、安倍晋三首相が今年に入り2度も訪問するなど力を入れている。同国のエルドアン首相が来年1月にも訪日する可能性があることを踏まえ、それまでに国会承認を済ませて関係強化に弾みをつける思惑もあったが、完全に外れた形だ。

 関係者によると、今国会で岸田文雄外相は衆院特別委に出席するケースが多く、審議時間が削られた衆院外務委は前国会で積み残した条約承認案などを処理するのが精いっぱい。国会会期の大幅延長は困難で、参院での締結承認まで持ち込むのは不可能とみられる。来週以降に十分な審議時間が確保されたとしても、みんなの党が「脱原発」を掲げるほか、日本維新の会では意見対立がある。慎重審議を求めるのは必至で、スピード採決は見込めそうにない。
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13 Dec 2013   03:45:39 pm
ボタン鍋にご注意
福島県の山の放射能汚染は超高濃度、イノシシ肉1kgから6000ベクレルを測定
Finance GreenWatch 2013-12-12より、

 福島県が実施した「野生鳥獣の肉における放射性核種の濃度測定結果」によると、飯館村で捕獲されたイノシシから、基準を大きく上回る1kg当たり6000ベクレルの高濃度セシウムが検出されのをはじめ、調査対象となったイノシシ30頭のうち大半の28頭、ツキノワグマは2頭中2頭が、基準を上回る放射能に汚染されていた。豊かな福島の森と山の汚染は極めて深刻だ。

 12月11日の発表では、イノシシは田村市で捕獲された2頭だけが基準の1kg当たり100ベクレル以下で、その他のイノシシの大半が基準オーバーとなった。最高は飯館村の6000ベクレルだが、それ以外でも、同じ飯館村で別の日に捕獲されたイノシシからも5200ベクレルが見つかるなど、イノシシの放射能汚染の深刻度が増している。またツキノワグマは調査検体が2頭だけだったが、いずれも210、 530ベクレルと、基準超となった。

 福島県以外でも、栃木県日光市と鹿沼市で捕獲されたイノシシから、それぞれ240、200ベクレルのセシウムが、同県塩谷町と那須塩原市で捕獲された日本シカから、それぞれ150、110ベクレルを検出した。野生の生き物たちの放射能汚染の深刻度は増している。動物の汚染だけでなく、キノコや栗等の「森の幸」の汚染の広がりも尋常ではない。

 欧米では人の健康被害だけでなく、生態系・環境の破壊に対する市民社会の厳しい視線があるが、「環境先進国」を標榜する日本では、なぜか自然環境への汚染を、メディアもあまり問題視しないという風潮があるようだが、山、森の汚染は、川や地下水を通して、下流地域一帯に広く影響を及ぼす。

 政府は、エネルギー基本法の改正で今後も原子力を日本のエネルギーのベースにすると決める事で進んで居り、1月には閣議決定される。日本の山林が放射能汚染されて行く現実にはひたすら目をつむり、経済成長のみを追い求める安倍内閣は日本の歴史に大きな汚点を残す。しかし、そこでの不都合な真実は全て特別秘密事項として闇から闇へと葬られる。

厚労省・食品の放射性物質検査についてのURL:
http://www.mhlw.go.jp/file/04-Houdouhappyou-11135000-Shokuhinanzenbu-Kanshianzenka/0000031962.pdf

福島県自然保護課の野生鳥獣の肉における放射性核種の濃度測定結果についてのURL:
http://wwwcms.pref.fukushima.jp/download/1/shizen25-kekka1211.pdf
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12 Dec 2013   11:02:49 am
循環型社会「江戸」
持続可能都市「江戸」における循環システム
東洋学術研究52巻2号、山本修一教授(創価大)の論文から、

 江戸は、江戸湾(東京湾)を取り囲むように漁村、市街地、農村地帯、里山、森林地帯、そしてそれを貫くいくつかの比較的大きな河川で構成されていた。江戸は人口100万以上で、当時から世界有数の大都市であった。そこで利用された食糧事情や発生する膨大な廃棄物をうまく循環させるシステムとして、大きなものが2つあったと考えられる。

 ひとつは、里山、農村、市街地を結ぶ循環システムである。市街地を取り囲むように存在した農村にとって、田畑で使用する肥料の確保は、極めて重要な要素である。肥料のひとつは農村にとって身近にあった里山から採取する落ち葉から作る堆肥であるが、それだけで十分な肥料が確保できるわけではない。

 その不足分を補ったのが、市街地から大量に出るし尿や、薪を燃料として出る灰であった。不足分というよりもむしろ、し尿や灰が質的にも優れた主要な肥料であった。それが江戸市街地の周辺に存在した農村へと運ばれ、肥料として活用され、そこで生産された野菜や米が再び江戸の市街地に戻されるという循環が成立していたわけである。

 これに加えてもうひとつ、森林地帯、漁村、河川、江戸湾を結ぶ循環システムがあった。江戸市街地を含む関東平野周辺には豊かな森林地帯があり、その森林地帯や施肥された田畑から流出する栄養塩類は、江戸湾に注ぐ何本かの河川によって運ばれ、動植物プランクトン、魚、海藻、貝類を育てた。漁村では江戸湾の豊かな海産物をとり、それは江戸の街で消費された。漁村では売れない魚、内臓、アラは、溜めて農村の肥料として江戸周辺に運ばれた。こうしてもう一つの循環システムが成立していた。

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