ダンテの森    
18 Aug 2013   11:38:28 am
企業の自主的省エネ
CSR(企業の社会的責任)としての資源生産性の向上を目指すEMS
ファクター5第七章「経済的手段」から

 経済的手段と共通している自主規制と環境マネジメントシステム(Environment Management System, EMS)についての話である。これは、法律で定められた規制値に縛られるものではない。産業は本質的に国家が法律によって規制をすることには反対である。自主規制は1970年代にその起源を持つ。国家の規制によること無く、企業が自主的に設定した工程表に従い多くの目標を達成することができる事を証明している。

 今日、これらの自主規制はCSR(企業の社会的責任)の範囲において行われている。特に公共の批判にさらされている企業、例えばシェル石油、ナイキ、マクドナルド、ウォールマートなどがCSRの先駆者であることは知られている。これは成功した企業が批判をかわす策にすぎないとの批判もある。しかし、もし環境負荷軽減と言う最重要課題が達成されるのであれば、それを行う動機は大した問題では無い。

 EMSにおいて資源効率に関しては、ぼんやりとした目標しか示さないがCSRよりは、具体的である。一般的に、法規制を伴うEMSと、企業コンプライアンス以上の自主的マネジメントに分けることができる。EMSは、主に過去20年の間に開発され、当初は法的規制への対策としてつくられた。国際的環境マネジメントと言えるISO14000は1996年に作られ、2004年に実務化された。おなじみのPDCAサイクルを回すと言う手法が取られている。
EMSの長所はつぎのようにまとめることができる。

■スリム化:企業はEMSによって、水資源、エネルギー、金属資源の消費の削減を行う事で、コストの低減を行い財務の改善に貢献する事ができる。
■自主規制:国家による規制を受け止め、緩和した形で経営の状況に適応しながら規制を行う事ができる。
■権利の平等:高い環境スタンダードを有する国の企業は、投資先の国においても自国の高いスタンダードを守ることができる。
■報告義務の簡素化:EMSを実施している企業は、報告の義務を免除される。
■報告の改善:環境への取り組みをステークホルダーに対して発信する際に、共通言語を用いる事で効率よく伝えることができる。
■入札時の特典:EMSを導入している企業は入札時に優遇される。EMSを導入していない場合、該当する証明書が入札から除外される事もある。
■イメージの向上:EMSの導入は、企業の環境に対する責任の所在を明確にしているとして、企業イメージが向上する。
■ロゴマークの表示:認定された企業は、EMS認定企業の表示をする事が可能で、インターネット上の認定リストに記載される。これは、品質保証書としても機能し、国際的な団体からの推薦を受ける事もできる。
カテゴリー : Factor Five | Posted By : dantesforest |
17 Aug 2013   12:56:48 pm
食料スマートグリッド
廃棄食料をバイオエネルギーにすると言うプロジェクトには違和感を感じる
ブログ管理人

 最近、日本のどこかの市で廃棄される食料を集めてバイオ燃料にして発電をするプロジェクトが紹介されていた。これまでは燃料を使ってゴミ焼却炉で焼却していたものをバイオ燃料にしようと言うのだ。

 同様のプロジェクトは世界中にあるが、本当に廃棄されるべき残飯や、料理の際に出された屑であれば良いが、実際にはそのほとんどが、生産者が形が悪い、大きさが規格外などの理由で廃棄したもの、店舗の売れ残りなど、ほとんどまだ食べられるものである。

 現在、世界で年間1500万人が飢餓で死亡しているが、決して生産されている食糧が不足している訳ではない。世界で生産される食料は23億トンで現在の世界人口70億人で割ると、一人当たり328kgで、これは一人が一年に消費する食料180kgの倍近く有る量である。つまり、流通の問題である。食糧問題に関してはネットワーク「地球村」に詳しい。
URL: http://www.chikyumura.org/environmental/earth_problem/food_crisis.html

 電力は利用効率向上の切り札としてスマートグリッドが、今後世界の電力網に適応されると言われている。これは、電力を使う消費者の電気メータ(スマートメーター)から送られてくる電気需要情報と、今後ますます増加してくる風力発電、太陽光発電などの小口発電の情報を、グリッドプロバイダー(電力事業者)がまとめて、その動向を予測して電力不足などの緊急事態が起きないようにするシステムである。グリッドに繋がれた電気自動車や家庭用バッテリーの蓄電機能も細かく利用すると言うものだ。スマートグリッドについては小ブログの2013年5月2日他、多数記述があるので、サイト内検索で検索して参考にしてもらいたい。

 世界の食料需給状況、輸送システム、貯蔵システムなどの情報を全て集めて、無駄をなくす巨大な情報ネットワークシステムを作る事を提案したい。十分足りているはずの食料が足りなくなっている現状にはいろいろな理由があるが、企業が利益を生むために無駄を出していると言う側面は否めない。現在の電力会社が無駄な電力を使わせて売上を増やすのと同じ理屈である。

 世界で最大の食糧廃棄国はアメリカであるが、驚く事に2番目は日本である。日本は年間13兆円で5000万トン、必要量の50%の食糧を輸入しているが、1800万トン捨てており、その金額は11兆円である。さらにその処理費に2兆円を使っている。だから、日本から食料スマートグリッドの開発をする事を提案したい。今、日本のIT産業はその衰退を何とかしたいと躍起であるが、日本のIT産業と関連の大学、産総研やNEDOも総がかりで開発をしてはどうか。世界に感謝される事は間違いないし、将来巨大なビジネスとなる事は請け合いである。

カテゴリー : ブログ管理人 | Posted By : dantesforest |
16 Aug 2013   11:36:39 am
異常気象の増加
歴史的な異常気象の回数は今後も増加し続ける
IOP英国物理学会出版局、2013-08-14発表、

 この10年間に起きた熱波は、2003年欧州、2007年ギリシャ、2009年オーストラリア、2010年ロシア、2011年テキサス、2012年北米各地で史上最高の記録が観測されている。

 統計的に2000年までの50年間に地球全体の平均気温は0.5℃上昇した。異常気象が発生する地域の地球全体に占める面積の割合は1960年には1%に満たなかったが、2012年には10%に達した。

 この研究では、各地域毎の1ヶ月の平均気温データを1951〜2010年の60年間にわたり、1951〜1980年の平均値を標準値として解析した。そのデータを元にCMIP5モデルで2010〜2100年までをシミュレーションした。シナリオとしては、2100年までの温度上昇を2.0℃以内に抑える事ができたとする最良のシナリオRCP2.6(この場合、2100年までに現在より70%のCO2排出量削減が必要となる、つまりファクター5の実践が必要)と、このまま何もしない最悪のシナリオRCP8.5が用いられた。

 その結果によると、2020年まではいずれのシナリオでも異常気象は増え続ける。しかし、問題はその後で人類が何もしないで手をこまねいていると、2100年には人類が生活できる範囲が俄然少なくなる。

 連日の猛暑を、単にお天道様のせいにして、地球環境の事に無関心を装っていると、地球上の人類が生存できる範囲がどんどん狭まって行く。人口は2050年には90億を突破すると言うのにである。この発表を良く読んで考えてもらいたい。

 安倍政権は、日本の歴史認識問題や領土問題に国民の意識を向ける事に躍起であるが、本当の喫緊の課題は、世界と協力し合って地球温暖化対策に真剣に取り組むことである。その結果が例え、エネルギー産業や重工業の様な既得権益が縮小することになり、打撃を与える事になっても仕方がない。

 欧州、米国、中国などは既に方向転換を始めた。安倍、キム・ジョンウン、プーチンはそれに気が着かないのか、着いて居ても抵抗勢力として残るのか、いずれにしてもそう言うリーダーを持った国民は悲劇だ。

原文(英文)のURL:http://iopscience.iop.org/1748-9326/8/3/034018/article

カテゴリー : 他メディアより | Posted By : dantesforest |
15 Aug 2013   11:47:23 am
8月15日に思う事
ブログ「ダンテの森」は、皆様のお陰で3年目を迎えることができました。感謝。

 今日は終戦記念日である。ブログ「ダンテの森」を書き始めて今日で2年になる。毎日読んで下さる方がいらっしゃるのが励みで、ほとんど欠かさずで書く事ができた。現在も毎日250人位の人が読んで下さっている。(Visit数) 間違ってサイトに入ってきた人やGoogle検索などで飛び込んで来られてすぐに出て行くなどした、ヒット(Hit)数は毎日3000〜4000有る。

 現在、コメントとトラックバックはスパムコメント対策の為に止めさせて戴いている。7月に突然4000通ものコメントがロボットから送られてきた。ほうっておくとサーバーがパンクすると困るので、コメントとドラックバックを使用できなようにして、読者の皆様にはご不便をお掛けしている。レンタルサーバーによると今のところ対策は無いとの事である。環境と言う一つのテーマだけのブログは、我ながら珍しいと思っている。今後も環境一徹で行くつもりであるので、皆様の応援を宜しくお願い致します。
ブログ管理人への連絡は当面メールで、 danteアットマークjetiserv.com にお願いします。

 終戦記念日にあたりぼくの思いを一言。1976〜1980位の間仕事で東南アジアの国になんども出張した。韓国、中国、台湾、香港、フィリッピン、マレーシア、シンガポール、タイなどへ行った。当時の日本人は東南アジアの人から、外は黄色いくせに気持ち(中身)は白人のつもりでいると言う意味からの蔑称として、「バナーナ」と呼ばれていたことも知った。

 すでに日本はこの当時これらの国々よりも経済的には一歩先に進んでいたので、面と向かっては日本人に対してはまず友好的であった。「日本人大好きね」などと言われたものである。ぼくは、できるだけ現地の人と腹を割った話をするように勤めて、良く議論もしたが、その中から各国に友人と呼べる人ができた。

 8月の有る時、良い友達になったシンガポール人からイベントに誘われた。それは、国が主催する第二次大戦の終結を祝うイベントで、毎年行われているものであった。「対日戦勝記念イベント」であった。あとで知ったが、東南アジアのほとんど国が「対日戦勝記念日」を制定して祝っているのだ。

 そのイベントに参加していて、日本の8月15日が「終戦記念日」であって敗戦記念日では無い事にふと気が着いた。日本人にとって、戦争は終わったもので負けたとは思いたくないのではないかと、ぼくは感じた。

 日本は、サンフランシスコ講和条約を9月6日に結び、アメリカ合衆国と連合国に対し戦争の終結を締結した。しかし、日本が侵略した東南アジアの国々に直接「謝罪」は行っていない。ドイツが欧州で特にポーランドをはじめ多数の国々に何度も謝罪を行っているのとは対照的である。きちんとけじめが着けられない日本人と、けじめを着けずにはいられないドイツ人の違いはどこから来ているのだろうか、島国と欧州の中の国と言う地政学的な違いはあるかもしれない。

 第二次大戦は、資源を求めて日本が東南アジアに侵攻した事は動かぬ事実で、それを欧米の植民地主義からの解放を支援したのだ等と言った欺瞞は通用しない。エネルギー源を絶たれ、石油を求めて南方に戦火を開いたのは日本であり、被害を被ったのは東南アジアの人々であった。

 いずれにしてもエネルギーの為に戦争は起こされ、何百万人の命を奪った。資源の枯渇は人間を戦争に駆り立てる事も有る。資源は無駄に使われている。無駄をなくすだけで、今の1/5の資源で豊かな生活が送れるのである。2050年には90億人になろうとする地球で、人類が生きる道は、ファクター5しかない。

 日本語版「ファクター5」はボランティア仲間の努力で、間もなく原稿が出来上がる。この調子だと11月には書店に並ぶことになるので、楽しみにして戴きたい。
カテゴリー : ブログ管理人 | Posted By : dantesforest |
14 Aug 2013   11:41:02 am
ネガワット(節電所)
アメリカの中でも異色のカリフォルニア州の環境意識は高い
ファクター5より、

 需要家の節約により余剰となった電力を、発電したことと同等にみなす考え方。節電所とも呼ばれる。これが1970年代以降ネガワット(Negawatts)というエイモリー・ロビンスの素晴らしいアイデアがあった。

 節電の目的を「善意」から「ビジネス」に置き換えることと捉えることができ、電力事業者にとっては、ピーク時にあわせて用意した発電設備が、需要が少ない時期に遊休となるリスクを回避できる利点がある。

 最大のコスト削減は、新しい発電所を建設しない事である。新しい発電所に対する地域住民の反対が多ければ多いほど、その建設は遅れ当然費用は増加する。コストの節約は電力大手にとっては十分な利益に繋がる。

 さらに例えばカルフォルニアでは電力大手に対して、節約の効果目標を達成すると、(利用者はより高い電力料率を適用されるが、毎月の電力料金は低下する)より価格の高い電気料率が認められた。

 累進的な電気料率は利用者側においても適切な節約環境に心を配ることになる。カルフォルニアのシステムは、アメリカ合衆国の他の州の電力消費が大きく伸びている間、劇的に成長する州が長期にわたり一人当たりの電力需要を安定させるために考案された。

図は、カルフォルニア政策から30年後のエネルギー生産性はUSAの平均値と比較し、2倍に相当するほどになったことを表している。

 以上は、「ファクター5」第六章法的規制からの引用であるが、オバマ第二次政権は、CO2を1960年代の水銀、ヒ素、カドミウムなどの汚染物質と同じに扱い、環境庁の権限により石炭火力発電所が排出するCO2の上限値を決定できるとした。

 これにより全米で約600の旧式の石炭火力発電所が即時閉鎖に追い込まれる。しかしカリフォルニア州には、規制値を超えるCO2を排出している発電所は無くこの法律の適用による影響は無い。

 全米の各州は、石炭火力に較べCO2排出量が半分の天然ガス発電所への切り替えに進むと思われるが、カリフォルニア州では天然ガスでも半分のCO2は排出される。カリフォルニア州の目標はCO2ゼロが目標なので、更なる省エネこそが最も有効な対策だと息が荒い。
カテゴリー : Factor Five | Posted By : dantesforest |
 
ページ: Prev 1 2 3 ...80 81 222 223 224 Next
Aug 2025 9月 2025 Oct 2025
  1 2 3 4 5 6
7 8 9 10 11 12 13
14 15 16 17 18 19 20
21 22 23 24 25 26 27
28 29 30     
にほんブ�前村
カテゴリー
Factor Five [220]
General [13]
ブログ管理人 [315]
他メディアより [577]
リーセント
北極海氷、2番目の小ささ
地球環境の救世主になるトランプ?
Oceans’18Kobeを訪ねて。
第三回国連環境総会
気候変動は国際社会の責任
トランプに消されるEnergy Star
トランプ大統領の誤算
ドイツ市民の誇り
水中CO2センサー
6年ぶりのメキシコ
アーカイブ
7月 2012[77]
6月 2012[80]
5月 2012[93]
4月 2012[97]
3月 2012[98]
2月 2012[68]
1月 2012[96]
12月 2011[100]
11月 2011[99]
10月 2011[109]
9月 2011[111]
8月 2011[97]
ユーザーリスト
Admin[5]
dantesforest[1120]
検索
組織化
Powered by myBloggie 2.1.4