ダンテの森    
20 May 2013   10:58:35 am
異常気象と地球温暖化
ニューヨークでは気候変動による熱波で死者数が最大22%増加する
ガーディアン電子版 2013-05-19より、

 ニューヨークでは最大22%の熱波による死者の数が増える事になると最新の研究結果は警告している。温暖になった冬の為にマンハッタンで凍死する人の数は減少するが、相殺するほどにはならない。

 気候変動を計算に入れた新たな平均気温から算出した夏の暑さによる死者の数は増加する。自然気候変動(Nature Climate Change)の最新版に掲載の研究結果では、マンハッタン居住区の真夏の気温は死者を続出させものになるとの事である。温暖化する冬の凍死者の数は減少するが、合計では増加し、今世紀の終わりには毎年かなりの数に達する。

 地球温暖化ガスを減少させる対策を全く取らなかったとするとニューヨークにおける熱波による死者の数は、2080年には1980年に比較すると91%増加するとこの研究は述べている。

 この研究を行った、コロンビア大環境保健科学のパトリック・キンネイ(Patrick Kinney)教授は語る。「気候変動が与える季節別の健康への影響を研究したものはこれが初めてである。この研究結果は気候変動は死者の数を増やすと言うものである。」

 ガーディアン紙の記事はまだまだ続くが、略す。原文(英文)は次のURLで読む事ができる。このように、海外のメディアは最近の異常気象を積極的に地球温暖化と結びつけて、詳しく解説記事を掲載していることである。

 それに較べて日本のメディアは、異常気象が日本や世界で起きている事は報道しても、それを地球温暖化と結びつける報道姿勢を取っていない。読者も良く気をつけて見てもらえば分かるが、異常気象の報道をする場合にも、ことさら「気候変動」「地球温暖化」などの言葉を使わないようにしている。まるで、安倍政権が世界と日本に進める石炭火力発電の推進の邪魔にならないように気を使っているようである。

ガーディアン紙(英語電子版)のURL:
http://www.guardian.co.uk/environment/2013/may/19/heatwave-deaths-new-york-city-rise

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19 May 2013   12:16:02 pm
復興工事の環境負荷
東北沿岸に21世紀の万里のコンクリート製長城建設計画が進行中
Environment360 2013-05-16から、

 東北復興事業計画に東北太平洋側三県(岩手、宮城、福島)につながるコンクリート製の長大な防潮堤を建設する計画が進められており、世界の科学者達が反対していると米国エール大が発行するサイト「環境360(Environment360)」が書いている。

 東北大地震の津波で被害を受けた沿岸地域は被災から二年後の現在、自然の生態系はものすごい勢いで回復しつつある。311以降、東北の生態系を観察している科学者達は、一度は全滅に見えた海岸線の生態系は、信じられない早さで回復しつつあり、多くの生物は元の場所に戻って来ている。

 安倍政権は、その海岸線すべてにコンクリート製の防潮堤を作り、それを全部繋ぐ計画を立てている。311の津波では、コンクリート製の防潮堤の多くは破壊されるか、根こそぎ流され防災の役目をするどころか、巨大なコンクリートの塊となって内陸に押し流されて、多くを破壊する原因となったことも分かっている。小ブログ2013年4月18日に取り上げたが、横浜国大名誉教授の宮脇博士が提唱する自然林による防潮堤はみごとに残っていたが、この計画はそのようなものではない。

 岩手、宮城、福島の三県と国交省が計画している防潮堤は津波にもびくともしない巨大なものとなる。場所によって高さや幅は異なるが、現在すでに建設中の宮城県の場合高さ15メートル幅50メートルの堤防となる。通常この様な建設には環境アセスメントが必要であるが、政府によると、災害復興工事との事でその必要は無い。岩手と宮城県は県独自に委員会を設置して環境に与える影響を調査するとしている。例えば、ウミガメの産卵場所が無くなってしまうなどの問題がある。

 大手ゼネコンと地元の下請け企業にはよだれが出そうなビッグプロジェクトであるが、環境破壊を起こし、多くの種の生存環境を奪い種の絶滅につながると、自然保護団体、環境学者、科学者達は政府に彼らからのヒアリングをするように働きかけているが、今のところ反応は無い。

原文(英文)URL:
http://e360.yale.edu/feature/in_post-tsunami_japan_a_push_to_rebuild_coast_in_concrete/2651/

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18 May 2013   11:37:25 am
どこへ行くのか日本
目標が全く書かれていない改正温対法が成立、鳩山国連宣言を正式に撤回

 今朝の新聞各紙の報道によると、改正地球温暖化対策推進法が17日の参議院本会議で可決、成立したと報道している。一見すると地球温暖化に貢献する法律の改正が行われたかのような錯覚を呼ぶ見出しである。もとより、環境問題には興味が薄い日本国民はまた騙される。

 参議院環境委員会は5月9日の川口委員長の解任問題で与党側の欠席と言う異常事態で開かれ、ろくな審議も行われていないはずであるが、昨日の参議院本会議で自民、公明、民主の賛成多数で可決された。

 この改正法は、2009年12月に鳩山首相が国連で2020年までにCO2排出を1990年比で25%削減の目標を宣言して大喝采を浴びた国際公約を反故にする為の法律である。この法律が閣議決定されたのは2013年3月15日で、その翌16日の小ブログで書いたが繰り返す。

 改正法案は、2009年より議論されてきた地球温暖化対策基本法案が、昨年、衆議院解散と共に廃案になったことに伴い、現行の温暖化対策推進法(温対法)の改正案へと変更され、2013年以降の計画を策定することを位置付けるためのものである。

 しかし、法案には、2020年の中期目標のみならず、既に政府において閣議決定済みの2050年80%削減の長期目標すら明記されず、同日開催された、地球温暖化対策推進本部において、80%の温室効果ガスの排出削減を目指すこととしているのにもかかわらず、目標に関する文言はどこにも見当たらない。

 また計画は、少なくとも3年ごとに見直しするとされてはいるが、計画には期限が明記されていない。さらに、附則で、平成27年(2015年)までに法制上その他の必要な措置を講ずるとされたが、国際的な新枠組みが合意される2015年まで何もしないと言うことにも受け止める事ができる。

 今回の法改正では、これからの日本の温暖化対策の方向性も時間的な目標も明らかにしておらず全く環境問題に対する姿勢が見えてこない。

 国際交渉の舞台では、2020年の現在の先進国の目標では不十分とされ、更に目標を引き上げる議論が進められている。2020年に目標を引き上げなければ、気温上昇を2℃以下に抑える目標の達成がほぼ実現できなくなるからである。今回の法改正は、こうした状況を踏まえ、日本が温暖化対策を行って行くはずのものではなかったのか。安倍首相は海外に対して自国を環境先進国などと吹聴しているようだが、大嘘つきとしか言いようがない。

政府は改正法の成立を受け、月内にも同目標の撤回を国連に通知する方針だ。各国から「嘘つき」とのそしりはまぬかれない。
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17 May 2013   08:22:21 am
超低燃費スポーツカー
燃費がリッター50km以上と驚異的だが、会社は現在経営困難

 ドイツの余り有名では無いロレモ(Loremo, Low Resistance Mobile)社の小型スポーツカータイプの2シーター車がある。車重550kgで、燃費は50〜66km/ℓである。2シリンダー18kWターボディーゼルエンジンを備えている。0〜100kmまでの加速は20秒とゆっくりであるが、最高時速は170km/hである。

 この驚異的な燃費の低さは軽い車重とエアロダイナミクスによる。鉄製のフレームは95kgと軽量であるが、炭素繊維強化FRPのボディと相まってドイツでの衝突テストでは好成績を上げている。この車にはドアが無く、フロントウィンドウを含めた前半分を上げて乗り込むか、後部ハッチからの出入りになる。ドアが無いことで100kgの重量軽減と全長の短縮化ができている。同社はその後一度経営困難に陥ったが、2012年に再スタートし、2012年12月には5kgのLPGで1500kmを走行する実績を作り、2014年から販売開始の予定で、販売金額は1万ユーロ(130万円)を上回る程度と発表されている。

 同社は、現在機構改革中で、フランクフルト市場で株は上場停止となっているが、ロレモ・ホールディングによると、2013年の第三四半期には再度上場の予定となっている。

ロレモ社ホームページ(ドイツ語のみですが、車の写真見れます) http://www.loremo.com/

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16 May 2013   10:36:44 am
持続可能なイベント
次のユーロビジョンコンテストは持続可能な音楽イベントとなる
derStandard.at 2013-05-13より、

 世界最大のソングコンテストであるユーロビジョンは2013年大会から持続可能性をその運営方針にすると発表した。2013年の会場となるスエ―デン第三の都市マルメ(Molmoe)は、この種のイベントの新しい標準となるべく準備をすすめている。欧州各国から代表が集まり、コンテストが開かれ優勝者を出した国が次の都市の開催国となると言うのがユーロビジョンの運営ルールである。

 しかし、2011年のドイツ、デュッセルドルフ、2012年のアゼルバイジャンのバクーの巨大化した大会に参加した国から「優勝はしたくない。こんなにお金が掛るのではホスト国にはなれない」との声が上がっていた。ましてや欧州挙げて持続可能性社会を目指している最中である。

 例えば2010年にホストをしたノルウェーの国営TV NRKはその年のサッカーワールドカップの中継を断念せざるを得なかった。ユーロビジョンで予算を使い果たし、ワールドカップの中継料を支払えなくなったからである。しかし、この事を知っていたドイツは翌年デュッセルドルフで派手にイベントを大がかりなものにした。経済状況が許したドイツは世界に見栄を張って見せた。そしてその翌年2012年のホスト国となったアゼルバイジャンは、貧しい国で有り、国内に人権問題を抱えており、世界の厳しい目が向けられていた。ユーロビジョン開催をその視線を外すように、やはり大がかりにクリスタルホールと言うその為の会場まで建設されて開催された。

 バクーが終わり、次の開催国がスエ―デンと決まった時に、もう十分だとEBU(欧州放送連合)とスエ―デンの放送局SVTが声を上げた。次回からのユーロビジョンの規模縮小をすることになった。

 スエ―デンのマルメが次期開催地として選ばれた時に「マルメはグリーンシティーです。」との宣言をしている。実際マルメは世界第5位のグリーン度を誇っている。この街で人は公共交通機関と自転車で移動する。乗用車やタクシーの利用は不便なように作られている。ペットボトルの飲料は無く、すべてガラス瓶である。ボトル入りのミネラルウオーターは売られ居らず、市内各所に飲料水用の水道栓が有り、市民はそこでマイボトルに水を詰めて携帯している。

 プロデューサーによると「バック・トゥ・ザ・フューチャー」が次のユーロビジョンのテーマであると言う。ショーがどうなるのか、との質問に、1950年を思い出して貰いたい、当時はみんな新しい技術に胸躍らせていたものだ。その1956年に第一回のユーロビジョンが開かれた。当時のライブを再現したいと思っている。会場には椅子席は無い。全員スタンディングである。

 持続可能な音楽イベントの第一弾はどんなものだろうか、胸躍らせて開催を待ちたい。

原文(ドイツ語) URL:
http://derstandard.at/1363710692807/Der-gesundgeschrumpfte-Song-Cont
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