ダンテの森    
26 Mar 2013   11:35:08 am
環境対策逆行を提言
政府・経済財政諮問会議の民間委員4人が連名で

 2013年3月15日の各紙は、政府の経済財政諮問会議の民間議員4人は連名で、原発比率の早期決定や、温室効果ガス排出量の25%削減目標の撤廃などを求める提言をまとめた。4人は、東芝の佐々木則夫社長、三菱ケミカルホールディングスの小林喜光社長、日本総合研究所の高橋進理事長、東京大学の伊藤元重教授。ただ、東芝は原発メーカーであり、三菱ケミカルは温室効果ガス排出量の多い化学メーカーの代表だけに、いずれも自社の利益誘導に近い提言といえる。
と報道している。

 この経済財政諮問会議と言うのは、2001年の橋本行革内閣が発足させ、小泉内閣が最も重視して竹中平蔵が中心となり実質上の最高意思決定機関として「骨太の方針」を打ち出した。民主党内閣では事実上棚上げにされ会議は一度も開かれることはなかった。鳩山首相は廃止を目論んだが野党の反対で出来なかった。第二次安倍内閣はまた、元に戻し重要な諮問機関としている。構成は、首相が議長となり、菅官房長官、甘利国務、新藤総務、茂木経産、麻生財務の官僚、黒田日銀総裁と民間議員として財界から三菱化学の小林、東芝の佐々木、学界から東大教授の伊藤、日本総研の高橋の10人の議員である。
この4人の民間議員がこの度、提言を出した。

 4議員の提言は、まず原発比率を含む将来の望ましい電源構成を「できるだけ早急に決めていくべきだ」と明記し、最長10年間で決めるとした政府方針の前倒しを求めた。また、民主党政権時代に決定した2020年までに温室効果ガスの排出量を1990年比で25%削減するとする国際公約については、ゼロベースで見直すよう主張した。

 提言は「経済財政政策から見たエネルギー戦略について」と題し、4人は連名で26日の諮問会議に提出する予定。成長戦略や経済財政運営で「エネルギー戦略は極めて重要」と訴え、政府に実行を迫る考えだが、東芝、住友ケミカルの個々の経営と直結する提言を盛り込んでいることから、諮問会議議員との利益相反問題が出る可能性がある。

 世界は、経済発展とエネルギー消費を切り離して考えようとする「デカップリング」でグリーン経済への移行をはじめているが、それには目をそむけ旧態依然のエネルギー依存経済を続けようとする安倍内閣は時代逆行・ケインズ主義古典経済内閣としか言いようが無い。

 ちなみに日本総研の経済政策レポート2003年5月号では「デカップリング」を提言していたのであるが、10年経つと180度主張が変ったらしい。

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25 Mar 2013   06:06:19 am
継続する海洋汚染
東電福島原発、セシウム17兆ベクレル海洋流出か?
2013年3月24日 FinanceGreenwatchより、

 東京電力福島第1原発の港湾内で海水の放射性セシウムの濃度が下がりにくい状態が続いていることに関し、汚染水の海への流出が止まったとされる2011年6月からの約1年4カ月間に、計約17兆ベクレルの放射性セシウムを含む汚染水が海に流れ込んだ恐れがあるとの試算を、東京海洋大の神田穣太教授がまとめた。

 東電は、11年4月に1週間で意図的に海に放出した汚染水に含まれる放射性物質の総量を、約1500億ベクレルと推計しているが、その100倍以上に当たる。

 神田教授は「原子力発電所の港湾内の海水の放射能のデーターから言えることは、港湾から海水から向かって間違いなく放射性物質の放出は続いているということだと思う」と指摘している。第一原発港湾内の海水は、潮の満ち引きなどで1日におよそ半分が入れ替わり、放射性物質の濃度は下がるはずだが、ほとんど下がっていないという。

 東京海洋大学海洋環境学部・神田穣太教授インタビュー「漏れているという可能性は決して否定できないので、他のルートがあるならばそれも含めていろいろな可能性を徹底的に調査すべきだと思う」と述べている。これに対して東京電力は「港湾内の放射性セシウムの濃度が下がらない原因は分からないので、検証を続けたい」とコメントしている。

 これを読むと、なんだか全くの垂れ流し状態がそのまま続いているようにしか考えられない。北海道まで来た親潮が三陸に沿って南下して福島沖を流れ、銚子沖で黒潮にぶつかり東方に流れる海流があるが、それに放射性物質が乗って太平洋に散乱する可能性は無いのだろうか。それが何十年後かに分かっても、今いる関係者はもう関係者では無くなっているので問題なしと言うところだろう。

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24 Mar 2013   01:57:07 pm
石炭火力推進の日本
41団体が「石炭火力発電の推進に反対する共同声明」を発表

2013年3月21日
気候ネットワーク

 本日21日、環境団体など41団体は、「石炭火力発電の推進に反対する共同声明」を発表しました。政府では石炭火力発電所を推進し環境アセスメントを緩和する方針を打ち出したり、東京電力が石炭火力を念頭にした電力入札をはじめており、私たちはこうした方向性を大変憂慮し、この度の声明に至りました。

 石炭火力発電は、効率が良い最新技術でも天然ガスの2倍のCO2排出があります。そのため、地球温暖化を加速化させ、政府が掲げている2050年に80%削減するという目標達成も困難とするため、21世紀のエネルギーとしてはふさわしくありません。

本声明では、以下の3つについて強調しています。

1.石炭火力発電所の環境アセスメントは緩和するべきではない
2.東京電力による石炭火力発電所の入札募集は停止すべき
3.政府は石炭火力を抑制する政策を強化すべき

共同声明の本文は気候ネットワークのホームページで、URL:
http://www.kikonet.org/iken/kokunai/2013-03-21.html

 安倍政権はどうしても20世紀型エネルギー依存体質から抜け出せないらしい。原発のアセスメントが無理なら石炭火力のアセスメントの条件を緩和して石炭火力を作りたいらしい。石炭火力の環境アセスメントは今でも、十分に甘いようで、ぼくが過去に訪れた事がある関西電力舞鶴石炭火力発電所は、風向明媚な舞鶴国定公園の真ん中にあり、半島をひとつ崩して発電所を作っている。(写真)これ以上緩和すると言うと、どんな条件になるのか心配が尽きない。

 経済発展にはもっとエネルギーが必要との既成概念に囚われてしまっている現政権とそれを取り巻く経済学者達、財界人達は日本を世界の孤児にしようとしているのだろうか。このままでは、極東の二つのがん細胞、北朝鮮と日本と世界からならんで後ろ指さされる日もそう遠くないだろう。

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23 Mar 2013   11:14:35 am
世界水の日
毎年3月22日は水資源の危機について考える日

 昨日、3月22日は「世界水の日」であった。日本では「地球と水を考える日」と制定されている。CNNやブルームバーグでは、定時ニュースの中で、世界の水資源不足の現状を訴えていた。日本のマスメディアでは、特に目立った報道は無かったように思うが、世界水の日報道をご覧になったかたはいただろうか。

 気候変動と共に人類共通の課題は水資源枯渇の問題である。水に関するファクト・アンド・フィガ―である。世界水の日のホームページからのデータである。
■世界人口の85%は乾燥地帯に居住している。
■7億8千万人は清潔な水が手に入らない。
■25億人にはトイレ施設が無い。(携帯電話は有ってもトイレが無い!)
■年間6〜800万人が不衛生な水が原因で病気となり死亡している。
■先進国10億人のライフスタイルを世界中の他の60億人の人が行うと、地球の水資源全体の3.5倍が必要となる。
■次の40年間に、20〜30億人の人口増加が見込まれ、食生活も変化していることから、70%の食糧不足が予測されている。
■多くの地域で水の枯渇が予測されているのに拘わらず、農業分野のみでも2050年までに19%の水需要の増加が必要とされている。画期的な技術革新と強力な政治力による対策が必要である。
■食生活の変化、でんぷん質から動物性たんぱく質への変化が水の需要を増加させている。米1kgは3500リットル、牛肉1kgは15,000リットル、コーヒー一杯は140リットルの水が必要である。世界の肉の消費は2000年には一人当たり年間37kgであったが、2030年には52kgに増加すると予測されている。

 ファクター5では点滴灌漑を行う事で95%の水と農薬の節約ができると紹介している。点滴灌漑は簡単で安い投資で実現が可能で、小規模農家に向いている。世界の農業従事者11億人の95%は2ヘクタール以下の小規模農家である。また、バイオミミクリ―の研究者は自然農法で節水型の農業が可能であると提案している。

世界水の日のホームページ(英文)URL:
http://www.unwater.org/water-cooperation-2013/home/en/

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22 Mar 2013   11:25:18 am
グリーン経済の罠
ところ構わず、グリーンの美名のもとにプロジェクトを作りたがる日本企業

 昨日、2013年3月21日東京都文京区にある文京シビックホールにおいて開催されたFoE Japan(フレンド・オブ・ジ・アース・ジャパン)主催の報告会「グリーンエコノミーの罠」に行ってきた。

 メキシコでは33ギガワットもの風力発電プロジェクトが有ると言う。メキシコ南部、オアハカの風力発電の巨大プロジェクトは北米大陸の一番くびれた部分で年中風が強い地方だそうで風力発電にはもってこいの立地なのであろう、何百、何千の風力発電タービンの建設がこの地域に集中している。地元住民は賛否相半ばしており、地権者間の利害対立や不法な権利奪取など紛争が絶えていないようだ。
 今回の報告は、その内の一つで建設費用800億円、396メガワットで三菱商事が33.75%出資するマルチナショナルプロジェクトについてであった。京都府の天の橋立(3.6km)を巨大にした全長27kmの湾口砂洲に200m間隔で132機の高さ80mの風力タービンを並べようとする計画である。現在、このプロジェクトは地元住民の反対派から裁判所に出された建設差し止めが受理されストップしている。問題は、地元の状況もろくに調査せずにプロジェクトを強行しようとしている企業の姿勢である。

 二つ目の報告は、フィリピン・ルソン島北部のイザベラ州のバイオ燃料プロジェクトである。このプロジェクトは伊藤忠商事と日揮が70%を出資した、サトウキビからバイオエタノールを作り、絞りかすを燃やして発電すると言うプラントである。当然、広大なサトウキビ畑が作られる事になる。ここでの問題も地権者間の利害対立や権利証偽造の詐欺まがいの地権奪取などが中心となっている。
 また、このプロジェクトは当初京都議定書CDM(クリーン開発メカニズム)を使った排出権買い取り制度を利用しようとしたものであったが、それがUNFCC(国連気候変動枠組条約)に認められないとなると、安倍政権が日本―フィリピンの2国間排出権取引で解決しようとしているという問題がある。また、サトウキビのモノカルチャーによる環境破壊の問題も大きい。

 2つの報告の後上映された、バイオ燃料工場を題材にした中井信介監督のドキュメンタリー映画「空にとける大地」は、中井監督の人間愛がにじみ出た良い作品であった。

 問題は、まず何かを建設する言う事であるが、ビッグプロジェクトには必ず大きな環境負荷が伴う事を知るべきである。ぼくたちの「ファクター5」ではエネルギー効率を5倍に向上させる事で、環境の負荷を減らす事を推進しているので、とにかく再生可能エネルギーを新たに作り出す事を目的とする、新エネルギー開発論には与しない。自分の家の前で風力タービンがブンブン唸るのを聞きたくは無いし、貧しい人の食糧を奪ってバイオ燃料を作るのにも反対である。いずれにしてもまやかしのグリーンを語るビジネスの横行は許されない。

 しかし、何と言っても昨日の一番の収穫は、FoE Japanの若い皆様が頑張っておられる姿とそれを応援する大勢の聴衆がいるのを見て希望と勇気を貰う事ができたことであった。有難うございました。

FoE Japan のURL: http://www.foejapan.org/

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