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20 Jan 2013 12:27:27 pm |
バイオミミクリ―農法 |
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農学者、福岡正信の「何もしない」を追求した自然農法は次世代の農法
農業と言うとグリーンなイメージで環境負荷が少ないのでは無いかと思われているがそうでは無い。まず農業分野から排出される地球温暖化ガス(CO2換算)は年間54億トンで総排出量300億トンの18%で建築物、交通に次いで第三位である。現代農業は大量の窒素肥料を使って成り立っているが、窒素肥料1トンを製造するのにはほぼ同量の石油を使う。そして土壌に撒かれた一酸化窒素(N2O)の一部は大気中に放出されるが、このガスの温室効果はCO2の310倍である。また、水田は土壌表面に水を貼ることから土壌中で酸欠状態となり、メタンガス(CH4)が発生する。畜産農家では家畜の糞尿やゲップからも多くのメタンガスが大気中に放出されるが、メタンの温室効果はCO2の25倍である。
その上、世界の淡水の70%は農業が消費しており、淡水の汲み上げ、輸送、灌漑にも多量のエネルギーが消費されており、農業は大変地球環境負荷の大きな産業である。
さらに、生産された農作物のほぼ半数は消費される事無く廃棄されており、巨額の無駄を生じている。食料品の廃棄の為の焼却や埋め立てにも多量のエネルギーが消費されているが、これは農業分野の環境負荷としては算入されていない。
愛媛県出身の農学者、福岡 正信(ふくおか まさのぶ、1913年2月2日 - 2008年8月16日)、自然農法の創始者の存在を知った。福岡が開発した米麦連続不耕起直播は、稲を刈る前にクローバーの種を蒔き、裸麦の種の粘土団子を蒔き、稲を刈ったら稲わらを振りまく。麦を刈る前に稲籾の粘土団子を蒔き、麦を刈ったら麦わらを振りまくという栽培技術である。これは、できるだけ「何もしない」と言う事を追求した農法で、異なる植物の持つ特徴を生かして土壌を疲弊させないので、アジアやアフリカなど国家予算をつけてこの農法を学ぶ国もあるが日本では全くのマイナーである。1988年にアジアのノーベル賞と言われるマグサイサイ賞を授与されている。(因みに今度「ファクター5」を出版してくれる明石書店の石井社長は2008年にマグサイサイ賞を授賞されている。)
日本の農業では、多くの窒素肥料、農薬、農機具を使うがそれらは全て農協(JA)が一手に販売をしている。出来た作物もJAが買い取るシステムになっており、農家はJA無しにはやって行けない。自然農法のような農法が広まると一番困るのはJAであろうからJAが推進するはずは無い。自然農法ではGDPの増加には結びつかないので、農水省も力が入るはずがない。
福岡正信さんの御存命中には脚光を浴びることが無かったが、ぼくたちが目指す持続可能社会には欠かせない正にバイオミミクリ―の考え方だと思う。後継者の方々のご活躍を応援したい。
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19 Jan 2013 01:47:01 pm |
エネルギー産業の目算 |
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40年後のエネルギー消費は現在の2倍との見積もり
世界の石油大手のロイヤル・ダッチ・シェルは世界44ヶ国に資産を持ち、年間42兆円の売り上げのエネルギー産業の大元締めである。この企業は、エネルギー消費は今後も伸びを続け40年後の2052年には現在の2倍になると見積もって、石油に変わるエネルギー源として、天然ガスとシェールガス・オイルの開発に投資をして行くと発表している。
現在世界で年間300億トンのCO2が排出されており、このまま続くと2050年には地球の平均気温は2.0℃上昇し、気候の狂暴化はますます進み、海面は5〜10m上昇すると言う事がIPCCの報告で明らかであるが、石油資本は構わず化石燃料を掘り出して燃やし、今の倍に増やすと言う。狂気の沙汰としか言いようが無い。エネルギーの使用量を減らして行く気はさらさら無いようだ。
現に昨年一年間の気候の狂暴化で夏の暑さ、冬の寒さ、多雨地域での洪水、乾燥地域での旱魃、台風やハリケーンの大型化、竜巻等過去の記録を塗り替えるものが目白押しであった。現在もオーストラリアのシドニーで44℃と過去最高を記録中である。これから来る北半球の夏にも又、記録が新たになると思われる。
世界のCO2の発生源の40%は建築物から出されているが、そのエネルギーは暖冷房、照明、換気、水に使われている。これを外断熱による高断熱、高気密構造にし、換気システムを改造する事で、80%の効率アップが可能なビルのグリーン化の技術が既に存在する。これをもし、世界の全ての建築物で行う事ができれば32%、年間96億トンのCO2の排出を止める事ができる。これにより損害を被るのは、エネルギー産業だけである。
昨年、2012年7月からやっと日本でも取り入れられたFIT(再生可能エネルギー固定買い取り制度)で決められたkwH当り42円と言う価格を、自民党は見直して下げようとしている。再生可能エネルギーにやっと日本でも弾みが着いて来た矢先であるのに、もう方向を変えようとする働きが有るようだ。
安倍首相は海外で自国の事を臆面も無く「環境先進国」と呼んで憚らないないが、一体何を持ってそんな事が言えるのか不思議である。
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18 Jan 2013 03:32:43 pm |
持続可能性シフトの韓国 |
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「高速、小型、大容量、高精度は時代遅れ」に気がつかぬ日本
家電各社が毎年発表する新製品のTV、携帯電話、その他各種の電気製品やガジェットは新機能を売り物にするのがほとんどである。その中で今年のCES2013では、それ以外に持続可能性と資源保護に着目した企業があることに気がついた。
従来は新製品と言えば高速で有ること、大容量で且つ小型であることが、重要な新製品開発のコンセプトであったが、省資源、長寿命、低電力消費の持続可能性をコンセプトにしている事が分かる製品を発表している企業がいくつかあった。
その最先鋒が韓国のLGとサムソンの2社である。サムソンのLED光源TVの55型と46型製品は、厳しいIEEE1680持続可能性製品基準に準拠しているとUL 環境基準(UL Environment)からゴールド認定を授与された初めての製品である。この認定基準にパスする為には、この製品そのものの省エネ、省資源性能だけではなく、製造段階における環境対策、企業の環境基準、原材料や納入業者の環境基準まで全てが審査対象であるために、サプライチェインを含めた企業グループ全体がグリーンである必要がある。
サムソンの競合であるLGはこのUL 環境基準以外に、アメリカ環境保護局(EPA)のエネルギースター・プログラムとカーボン・ファンデーションのカーボンフリー認定も受けている。LGによると、同社が2012年に販売した製品の75%はエネルギースターの最高レベル認定商品であったとしており、これらを購入したユーザーはその全体で年間150億円の電気料金を節約し、同時に9億トンの地球温暖化ガスの削減に貢献していると、同社は推定している。
このように韓国の2社はアメリカや欧州に増えつつある環境意識が強いユーザー層にターゲットを絞って製品戦略を練っており、世の中のグリーン経済化を先取りしていると言える。
それに較べ、日本のメーカーは未だに、高速、小型、大容量、高精度が売り物で製品のグリーン化にはまるで力が入っていない。韓国勢にはすでにソフト面で負けているところに、こんどはグリーン化で更に距離を離されるのは目に見えている。日本の開発者は日本国内の脱デフレ、売上アップ、復興ムード一辺倒に溺れてしまい、世界がグリーン経済へとシフトしつつある事が見えていないからでは無いだろうか。
ベトナムに原発を売り込むよりも省エネをお手伝いしますと言う方がずーっと受け入れられると思うが、残念ながら安倍さんにはそのセンスは無い。
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17 Jan 2013 02:18:55 pm |
持続可能性映像家電 |
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商品のグリーン化で韓国に大きく後れを取る日本
日本の映像家電が韓国メーカーに負けているのは決して価格競争で負けているのでは無い。いまや、映像家電のハイテクは韓国製と言うのが世界の市場での常識となってしまっている。2011年にアメリカ地方都市のウォールマートの家電売り場では中央にサムソンとLGの60インチクラスのスマートTVが4000ドル(36万円)のプライスタグを着けて売られており、通路には段ボールに入ったままの32インチ型のソニー、パナソニック、シャープが400ドル(3万6千円)程度の投げ売り価格で積み上げられているのを見てショックを受けた経験がある。10数年前には正反対であったのにと、感慨を深くした。日本のマスコミや有識者達は日本製TVは韓国勢に価格で負けたと言っているが認識不足も甚だしい。
1月7日〜10日までラスベガスで開かれていた世界最大の家電見本市CES2013で韓国勢が見せたものは、家電のスマート化と持続可能性の追求であった。
スマホから操作できるありとあらゆる白物家電は今後の動向を示し更なる省エネに貢献できることを示唆している。
サムソンはスマートTVを今後毎年アップグレードして行くと言う。しかし、ユーザーは発表された新機能を手に入れる為にTV本体を買い替える必要は無い。エボリューションキットと呼ばれる新書版程の大きさの箱を背面に取り付けるだけで、最新の機能やアプリを楽しむことができるようになる。
これはサムソンの持続可能性家電で、これまで新機能を楽しむ為にはまだ使えるTV本体ごと買い替えていたが小さな黒い箱を買うだけで本体はそのまま使い続けることができる。それにより廃棄されるTV本体が減る。家電はリサイクルされて、資源の再利用は行われているが、それは40%に過ぎず、その他は埋め立てか焼却処分されている。そのまま使い続けることができれば、その方が環境負荷が少ない事は明らかである。
今回販売されるエボリューションキットにはデュアルコア高速CPU、新グラフィック・プロセッサ、大容量メモリが搭載されており、500ドル(4万5千円)で販売される。ユーザーにとっては本体数十万円のスマートTVを買い替える必要がなく、最新の機能を楽しむことができる。サムソンはこの製品を2020年まで販売し続けるとの事である。
それに対し日本勢は高細密画面の4KTVや有機LED画面のように相変わらずハード先行で、ソフト面や持続可能性では韓国勢に数年の遅れを取っている。
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16 Jan 2013 05:54:57 pm |
世論誘導っぽいNHK報道 |
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2030年原発ゼロ見直しに賛成が43%に、前回調査では廃止が71%
豪華客船が座礁して沈没をはじめた。船長は乗客を海に飛び込ませなければならなくなり、船長はそれぞれの国の人にこう言った。アメリカ人には「飛び込めばあなたは英雄になれる。」イギリス人には「飛び込めばあなたは紳士だ。」ドイツ人には「飛び込む事が規則になっています。」フランス人には「絶対に飛び込まないでください。」日本人には「皆さん飛び込んでいますよ。」これは有名なジョークで有るが、日本人はみんなが考えている事、みんながする事をやりたがると言うのは当っている。こんな日本人の世論誘導するのはそんなに難しいことではない。
今朝(2013年1月16日)のNHKお早う日本(午前7時のニュース)で、1月12日から3日間にわたって行われたNHK世論調査の内容として、「安倍総理大臣が、『2030年代に原発の稼働ゼロを目指す』とした民主党政権のエネルギー政策を見直す考えを示していることについて、『賛成』が43%、『反対』が21%、『どちらともいえない』が30%でした。」と報道した。
この世論調査結果を見た多くの視聴者は、「あー、ほとんどの人は原発再稼働見直しに賛成なんだ」と思い、みんながそう思うのならそれが正しいのかも知れないと考えた人も居た事であろう。朝の出勤前のサラリーマンは、朝食のパンをかじりながら、「ほ―、世論は原発容認に傾いているのか」との印象だけ持って出勤する事になる。
どのような、設問なのかをNHKホームページを探したが無く、今回の調査の設問について、NHKふれあいセンターに電話で問い合わせて聞いた。設問は1.あなたは安倍内閣を支持しますか、支持しませんか? 2.安倍内閣は10兆3全億円の緊急経済対策を閣議決定したが、あなたは支持しますか? などの設問が続いた後に、この設問となっている。ちなみに環境・エネルギー関連の設問はこれ一つだけである。経済立て直しなどについて質問した後に、民主党が決めた2030年原発ゼロを見直すと聞かれると、賛成と答えてしまうのではないだろうか、この設問方法は意図的であるとは言えないだろうか、そしてその結果を大々的に報じ、特に解説は加えていない。
2011年12月に行われた同じNHKの世論調査「防災・エネルギー・生活に関する世論調査」では、原発をどうすべきか、との設問に、増やすべき2%、現状維持27%、減らすべき51%、すべて廃止20%、無回答1%であった。せめて前回の調査では71%が反対でした、などのコメントは付け加えるべきではないだろうか。
日刊紙での世論調査結果は紙上で詳しく発表されるが、NHKの世論調査の詳細は半年後くらいになってやっと、NHK放送文化研究所のホームページ上で見る事ができるだけである。ニュースで報道されてもその詳細は「NHKふれあいセンター」に直接電話して1分10円のNAVIダイヤル料金を払って聞かなければ分からない仕組みもおかしい。
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