ダンテの森    
10 Jan 2013   11:49:39 pm
進む地球温暖化
それでも化石燃料を燃やした性ではないとする市場の人達

 国連のIPCC(気候変動に関する政府間パネル)の第五次報告書が本年、2013年5月に発表される予定であるが、昨年12月に一部のデータがリークされ、IPCCに異論を唱える団体により、このリークデータを使っての各国政府へのロビー活動が始まっている。第五次報告書は地球温暖化はより一層深刻化しており、気候の変動は激化の一途をたどっており、それは人類の営みがもたらしたものであるとの結論が導かれているらしい。

 毎回、IPCCの報告書は事前リークが起きるが、これはIPCCと言う機関は世界の気象データを集める必要があり、全世界に2500人もの気象科学者が参加しており、報告書執筆はその中の800人もの多人数で行われている為に発表まで秘密を保持するのは至難の業と思える。

 2013年1月8日のアメリカ気象データセンター発表によると、2012年のアメリカの平均気温は108年前の1895年に同センターがデータを取り始めて以来の高い気温で全米・年平均12.94℃でこれは20世紀中の平均気温より2℃高い。

 2012年はヨーロッパ各地やオーストラリアでも記録的な高温が記録された。下の図はアメリカ気象局NOAAが2013年1月7日に発表した地図で、アメリカで過去最高気温を記録した場所が赤い点で示されている。

 それでも市場は地球温暖化は化石燃料を燃やしている事とは認めたくないらしく、昨年末にアメリカを襲いオバマ当選の引き金となったハリケーン「サンディ」についてもビジネス・ウイークは「サンディ、これは地球温暖化なんかでは無い―そんなバカな!」と言う見出しで反論を試みていた。ウォ―ル街のエリート達は、リークデータを使って5月に出されるIPCC報告書への反論を考えていることであろう。
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09 Jan 2013   07:12:06 am
ロボットカ―はエコ
本格的衝突回避装置付き自動車は車重を軽くできるはずだが

 自動車の衝突防止装置技術が注目を浴びている。2013年1月8日トヨタが自律走行自動車、ロボットカ―を発表した事で、各社とも自動運転車の開発に勢いがついてくるとの報道であった。

 現在の普通自動車の軽いものは700kgから重いSUVは2,200kg位の重量である。因みにその燃費は36km/ℓから7km/ℓである。それで、一台の車が輸送しているのは平均で1.7人であるので、人間一人平均70kgとすれば120kgの人間を運ぶのに約1トンもの重さの車体も動かす為に多大なエネルギーを使っている。

 それは、自動車はもしもの事故の際に搭乗者の生命を守る必要があるからである。その為に車体は頑丈で無くてはならずその構造の為に重量が増す。自動車の重量が増えると快適に発信停止が行える為には強力な推進装置や制動装置が必要で、その為に重量がさらに増す。

 絶対に衝突しない自動車ができれば安全の為に使っていた補強の為の構造は軽くなり車重を軽くできるはずである。つまり、更なるダウンサイジングが可能となり、安全で環境に優しい自動車ができるはずである。現在燃費が30km/ℓのエコカーであれば、その車重が半分になれば、50km/ℓも可能になるはずである。しかし、自動車メーカーは衝突防止装置が装備されると車重を軽くでき、燃費が向上し環境に優しい自動車が実現するとは全くアピールをしていない。自動車メーカーは他方で燃費向上は環境保全の為と言いながら、衝突回避装置が付いた自動車は車重を軽くできる分環境に優しいとは発表していない。専ら安全性の向上を強調するのみである。

 自動車マニアが読むと思われる衝突防止装置について書いているサイトをいくつか覗いて見たが、残念ながらそこにも環境面でのメリットについては全く語られていない。

 全ての技術革新は地球環境の回復の為にと考えるようになるのが、グリーン革命、持続可能社会への移行であるが、畏敬の念を忘れてしまった日本人には遠い道のりなのか。

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08 Jan 2013   11:25:44 am
未来を見通す見識
ゲーテは1824年に今日の環境破壊に警鐘を鳴らしていた

 昨日、東京の帝国ホテルで日本の経済三団体(経団連、商工会議所、経済同友会)が新年恒例賀詞交換会を開き、3000人の経営者が集ったと言うニュースが報道されていた。NHKの報道ではその中の48人の経営者に今年のキーワードをフリップに書かせてならべていたが、その中にただの一人もグリーン経済への移行や持続可能性を取り上げたものは居なかった。今の日本の経営者は、やはり4半期か半期の決算のことしか頭には無く、何を為すべきかを考える余裕はなく、世界の動向も目に入らないらしい。誠にがっかりさせられる。

 ゲーテ研究の第一人者として知られるワイマール・ゲーテ協会顧問で作家のマンフレッド・オステン氏はゲーテが1824年に書いた論評のなかで、「畏敬の念が支配的になれば、現在そして恐らく永久に不治の病に伏せっている地球は、そのあらゆる病から救われる事になるだろう」と記しているとし、この頃盛んになって来た産業革命によって引き起こされるであろう環境破壊に対しすでに警鐘をならしていたとしており「しかし、我々は産業革命が始まって以来、おそろしいまでに地球を破壊しています。そこへゲーテが『緑のゲーテ』として、エコロジーの守り手としてやってくるのです。自然に対する畏敬の念を持って。」と語っている。(総合雑誌「潮」2013年1月号)

 産業革命真っただ中に有って、既に今日の化石燃料汲み上げによる地球温暖化などの環境破壊を見通したゲーテの深い見識には驚かされるばかりである。

 ドイツが憲法を修正してまで環境保護を国是にするには、このような思想が覆水としてドイツ国民の中に流れていたからではないかと思った。シェールガス・オイルやメタンハイドレートなど新たな化石燃料を掘り出す事を「エネルギー革命」などと持てはやし、浮かれている政治家、産業界、マスコミに騙されない為にも「ファクター5日本語版」を一人でも多くの人に読んでもらえるような本にする使命をますます感じている。

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07 Jan 2013   06:33:47 pm
幸せの国コスタリカ
コーヒーやバナナの農園を自然熱帯雨林に戻す事でゼロエミッション

 ぼくには幸せな事に世界中に友人が居る。コスタリカにも友人が居て、10年ほど前に一度訪ねた事がある。首都サンホセの近くの町に、おばあちゃん、友人夫婦と子供の3世代が質素ながら仲良く暮らしていた。滞在した3日間の内2日は、ぼく自身が風邪をひいて寝ていたので、結局1日だけ観光をしただけだったが、その分余計に家族から親切にして貰いコスタリカの人の温かさを感じる事ができた。最後の一日友人の運転で見せて貰った所はいずれも自然たっぷりのところばかりであった。友人はバナナ農園で使う農機具の販売をしていたが、その頃だんだんバナナ農園が減少して行く影響でビジネスが成り立たなくなってきたと、嘆いていた事を覚えている。

 この国は1949年に憲法を改正して非武装とし、軍事費は教育に充てると決めている。さらに1983年には永世・積極中立宣言を行っている。国土の25%が自然保護保全地区に指定されている。2007年には2030年までにCO2ゼロ宣言を行っている。国土は世界の0.034%しかないところに地球上の生物の5%の種が生きていると言うのが自慢の国である。2009年の地球幸福度ランキングではトップに2012年のギャラップの幸福度の調査で世界で3番目にと、常に上位にランクしている。

 コスタリカは過去25年間にGDPを3倍にし、同時に森林面積を2倍にしている。そして現在の予測では2021年には国としてゼロエミッションを達成する世界で初めての国となる。現在、この国は世界銀行からCO2排出権取引の結果として25万ドル(3000万円)を受け取る数少ない国の一つである。

 コスタリカは、世界大戦後コーヒーとバナナ農園がアメリカ資本を中心に開発され、どんどん熱帯雨林が減少していた。1996年に環境サービス支払い制度(PES)をスタートした。これは森林を保護する地主に対しその保護サービスに対して対価を支払うと言う制度である。つまり、バナナ農園をジャングルに戻せば森林保護サービス料金を受け取れると言う訳である。ぼくの友人はこの煽りを受けた形だった。この制度は当初は異論もあったようだが、15年後たって全国8000の地主がこの制度に加盟して国土の10%が自然の状態に戻った。地主は1ヘクタールにつき年間78ドル(6700円)を受け取る。新たに保護された地域にはジャガー、オウギワシ、ベッカリー、オオアリクイなどの絶滅危惧種が生息している地域が含まれている。

 コンサベーション・インターナショナル(CI)やドイツ開発銀行は将来この熱帯雨林にある種から作られるであろう医薬品や化学薬品を担保に基金を出資しており、現在1700万ドル(15億円)が集まっているが、2012年末には2000万ドル(17億円)になっているはずである。この基金はPESの更なる拡大に使われる。

 持続可能国家の一つの有り方を示しており示唆に富み、ぼくらには学ぶ所が多い。
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06 Jan 2013   12:50:35 pm
バレンタイン商戦
チョコレート産業の持続可能性

 クリスマスと新年が終わるとすぐに商戦はバレンタインに切り替わる。日本でもいつの間にかバレンタインにチョコレートを贈るなどと言う習慣?が定着した。チョコレートを世界で最も消費している第一位はオレオなどのブランドを持つモンデリーズ(Modeléz)で売上は200億ドル(1兆7千億円)である。M&Mやスニッカーズのマーズ(Mars)が162億ドル(1兆7千億円)で二位で、キットカットのネッスル(Netslé )が128億ドル(1兆1千億円)と三位に続く。

 チョコレート業界はカカオ原産地における環境破壊や、劣悪労働環境、児童労働などの問題を抱えており、その持続可能性が問題視されている。

 第二位のマースは2009年にフェアトレードと環境保全の認証をレインフォーレスト・アライアンス等の第三者機関から受けた原材料を100%使用すると宣言を行った。業界4位のヌッテラなどのブランドを持つフェレロは2020年までに認証済み原材料100%に置き換えると宣言している。

 これらの動きを見て今回業界一位のモンデリーズが環境対策に4億ドル(350億円)を出資すると発表したが、その用途については未発表であるし、同社が認証済み原材料の買い付けをするかについての発表はないが、業界一位の同社の動きは他のチョコレート業界に大きな影響を与える事が期待される。

 カカオ農家では本来学校に行くべき児童が早朝から夜遅くまで長時間労働を強いられていると言う貧困の現状がある。また、自然林をカカオ栽培の為に開発し生物多様性の観点から持続可能性を低下させている問題も大きい。

 バレンタインでチョコレートを購入しようとしているお嬢さん方は、このような事にも思いを馳せてもらいたい。

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