ダンテの森    
15 Dec 2012   01:54:05 pm
環境学専門家のキャリア
日本ではまだまだだが、欧米ではメジャーな存在になりつつある環境学

 今日12月15日は今いるエアランゲン(Erlangen)からミュンヘン(Muenchen)に移動する日である。エアランゲンでは旧交を温めることと低エネルギー住宅の実際を見ることであった。いずれも目的を達することができたと思う。ミュンヘンで会うのは古い友人で、ミュンヘン工科大学で長年教授をしていたが、先月退官して、いまは名誉教授となった。いまでも研究室と講義も持っているとの事で、名誉教授になって何が違うのかと聞いたら、仕事は変わらないが無給になったと笑っていた。いまはぼくと同じ年金生活者となったとのことである。ミュンヘンでは持続可能性農業を見てこようと思っているが、天気予報では大雨とのことで心配している。

 話は変わるが、ぼくのところ、正確には妻のところに大手の証券会社の営業マンが電話をくれたり、資料を届けてくれたりしている。彼は、国立大学の環境学を学んだと聞き、ぼくのブログの読者になってもらっている好青年である。K君と呼ばせていただく。K君は環境学を勉強したものの環境関係の就職先が無くいまの証券会社に入ったと聞く。

 ドイツの友人たちの話では環境学や持続可能性学は人気の学部だという。こちらの大手企業には必ず持続可能性を担当する部門や担当役員が居ると言い、環境学のエキスパートは就職率が良いと言う。それは、その企業が持続可能性にどのくらい真剣に取り組んでいるか社会に見せる必要があるからだそうである。株を購入する場合の重要な要素であるし、製品を購入する時もその会社がどのくらい環境を意識して製品を作っているかは購入の意思決定に影響を与えていると言う。

 GreenBiz.comと言うアメリカのサイトには大変お世話になっている。と言うのは、お気づきの読者もいることと思うが、このブログでよくとり上げさせてもらっている。この記事に持続可能性のキャリアについての記事が出ている。アメリカのコカコーラ、マクドナルド、GE、などの大企業、にいる持続可能性担当役員達が大勢紹介されているので、是非K君にはこのサイトを見てもらいたい。そして、決して諦めずに一度進もうと思った道を進んでもらいたい。日本の持続可能性の為には環境問題がもっともっとメジャーになって行かなければならないからである。

原文URL:
http://www.greenbiz.com/blog/2012/12/11/we-hear-you-pushback-from-peanut-gallery

カテゴリー : ブログ管理人 | Posted By : dantesforest |
14 Dec 2012   03:11:02 pm
ドイツ人の環境意識
日常生活でいやでも高まる環境負荷に対する意識

 ドイツで友人と話していると、ぼくが環境問題に興味を持っていると意識をしての事なのかも知れないが、エネルギー消費の話題が普通に出てくる。例えば車で走っている時に、この車の燃費はこれくらいで、今前を走っている車の燃費はこれくらいだと詳しい。20年位前には車の話と言うと、0-400m加速が何秒だとか、最高時速が260km/hだとか話していた事を思い出すが、現在のドライバーの興味はもっぱら燃費で、その次に環境負荷である。この車は150g/kmとか、あの車は120g/kmを切っているとかを話題にする。これは1km走ると何グラムのCO2を排出して環境に負荷を与えているかの値で、新車の広告やカタログには大きく表示されている。まだ日本では、車の環境負荷値を人が話すのを聞いたことがない。

 ぼくの友人のキシッヒ氏(Mr. Kissich)は僕と同年代で定年退職者である。息子が結婚したときに増築して今は空いている160平米の住居を貸家として貸すのだと言う。その時に必要となるのが、エネルギー証明書(写真)である。この書類は専門の業者に頼んで作ってもらわなければならす、その費用は50ユーロ(5000円)である。頼まれた業者はその家やマンションの過去3年間のエネルギーコスト(電気・ガス・温水)をエネルギー供給事業者からしらべ、登記された建築物の面積で割って1平米あたりの年間エネルギーを算出して、この家、部屋はこれだけのエネルギー消費をしましたと証明するものである。

 これは、2008年7月に施行された法律によるもので、家や部屋の賃貸借契約に必要な書類である。テナントや借主は事前に自分が借りようとしている家がどのくらいエネルギーを消費するかがわかるようになっている。不動産屋の資料にも提示が義務付けられている。

 ここに示したエネルギー証明書の例では一番上のスケールの一番左が0でゼロエミッションで、一番右は最悪の400kWh/平米以上となっており、95.4kWh/平米のところに矢印があるのが、この例の家の消費エネルギーである。

 このようにドイツでは日常の生活にいやでも環境負荷に対する意識を持たざるを得ないような教育的情報提供が行われている。
カテゴリー : ブログ管理人 | Posted By : dantesforest |
13 Dec 2012   06:33:51 pm
個人で建てた省エネハウス
まだ、パッシブハウスができていない1992年に建てた低エネルギー住宅

 2012年12月12日の早朝にフランクフルトに到着し、電車でバイエルン州の北に位置する学園都市エアランゲン(Erlangen)に来た。10年ぶりである。ショッピングモールにスターバックスと世界中どこに行っても見れるものがここにもできていた。

 友人の紹介でMr. Rathの家に向かった。彼は1992年にまだパッシブハウスの概念が定着する前に低エネルギー住宅を建てた。当時、低エネルギーハウスの論文が出されたのを読んで、建築家と話したがまだ建築例が無いとのことだったが、自分で書籍や論文を読み漁り、図面を自分で書いて建築家に見せて当時の建築基準に合わせてもらう為に修正をしながら1年掛けて設計をしたという。

 窓は全て3枚ガラスにして、断熱処理されたサッシを使用している。使った材木はすべて製材所に特別注文して薬品処理をしていないものにこだわった。壁土も一切の薬品が混入していないものを選んだというこだわりようである。外断熱の構造で、熱交換率(U値)は0.14であると言う。家のリビングルームの中央にある石製オーブンには銅パイプがめぐらされてそこで暖められた温水で全戸を暖房しており、熱源はこのオーブンだけである。このオーブンでは薪をくべるが、その手間が楽しいと言う。

 機密性が高いので強制換気システムが付いている。外気を一旦地下1.5メートルに敷設された直径6cmの金属管5本を通してフィルターと熱交換器を通して温めた後に室内に導入している。外が-10度の時でも地下を通ってきた空気は+5度になっており、それを熱交換器で室温にしてから取り込むので外気が室温を下げることはない。この家全体で、通常住宅よりエネルギーコスとが60%は少なく住んでいるという。もともと、制御機器の技師であるMr. Rathはプログラマブル・ロジック・コントローラ(PLC)を駆使して高度に自動化しており、現在の最先端の省エネハウスに負けない。個人で低エネルギーハウスを建てるひとがいるほどドイツは省エネルギーには関心がある。

 写真は、20年前の建設中の南側サンルームのところである。3重ガラスのサンルームの左側の建築中の壁は16cmの空間があり、断熱材が充填されている。

カテゴリー : ブログ管理人 | Posted By : dantesforest |
12 Dec 2012   07:31:57 pm
今日からドイツです
ドリームライナー、ボーイング787

 ぼくは今この原稿を羽田発フランフルト行きのボーイング787の中で書いている。787はドリームライナーと呼ばれ、現存する商業航空機では最も燃費が良く従来の同クラスの777に較べて30%の省エネになっている。

 従来の航空機との一番大きな差は機体のほとんどが従来はアルミ合金の板を何十万個のおびただしい数のリベットで張り合わせて作ってあったものを、新素材に変えたことである。日本の東レが開発した商品名「トレカ」と言う炭素複合繊維を燒結させたもので、金属よりも軽量の上に強度がある。この新素材のおかげで、機体の強度、柔軟性、気密度が格段に良くなったために、機内は静粛で酸素濃度、気圧共に高くより地上の条件に近いので、旅行者は良く休むことができるので、ドリームライナーの名前がついている。窓も大きい。ちなみに機内の照明は100%LEDである。

 しかし、この新素材を製造するには高圧と高熱が必要でエネルギー集約型の材料であることは、アルミ合金とあまり変わらない。この繊維よりも強い繊維をクモは常温で作ることができることは、バイオミミクリーのところで述べた。人類もクモの手法を学ぶことができれば製法にもエネルギーをかけなくても航空機がつくれるようになる。それに都市廃棄物から作った航空燃料で飛べるようになればやっとグリーンで持続可能な飛行機の旅が楽しめることになる。

 ぼくもこれまでは空港からレンタカーを駆って目的地をまわったものであるが、ファクターファイブを語る立場となったので、心を入れ替えてドイツ国内の移動は電車で行うことにした。その分友人たちには駅への送迎の手間をかけることになる。

 今日は、知り合いが低エネルギー住宅に改築をしたと言うので明日のブログでその報告ができると思う。

カテゴリー : ブログ管理人 | Posted By : dantesforest |
11 Dec 2012   06:11:01 am
バイオ航空燃料
英国航空のバイオ燃料プラントが準備完了
GreenBiz.com 2012-12-06 Will Nicholsの記事より

 今日から、12月20日までの予定でドイツを訪問する。10年ぶりのドイツで懐かしい。羽田からフランクフルトまでの空の旅である。航空機は乗り物の中では最も環境負荷が大きい。航空機メーカーは大型化、新素材による軽量化で燃費向上の努力をしており、最近の航空機は旅客一人当たりのキロメートル当り燃費は10年前に較べて20%は向上しているが、それでも乗り物の中ではダントツに悪い燃費であることには変わりは無い。しかし、数千キロ以上の距離を移動する手段として、航空機以外は現代社会においては、時間的余裕が許されず他には考えられない。

 航空会社は航空燃料のゼロエミッション化を図っている。英国航空(BA)は持続可能なジェット燃料を供給する最新の設備を備えたプラントをロンドンに建設中で、2020年までに「ゼロエミッションでの成長」の為の準備が進んでいる。

 BAは先週、グリーンスカイ・ロンドン・イニシアティブがロンドン某所に建設中の工場とバイオジェット燃料購入の長期契約を締結したと発表した。

 この設備が稼働を始めると年間50万トンの従来埋め立て処理をされていた都市廃棄物から5万トンのジェット燃料を生み出す事ができる。

 Solena社の高温ガス化技術でガス化されたバイオ燃料は精製された後、液体炭化水素となり航空燃料となる。

 BAは10年間にわたり5億ドル(400億円)分のジェット燃料の購入契約を締結した。ルフトハンザ、KLM、ヴァージンエアや他の大手航空会社も提携している。

 BAによると、これはBAの航空燃料消費の2%にあたるとのこと。これをテストケースとして実証ができた後には英国内数か所に同様のプラント建設の計画があり、来年度から着工する予定である。

 同様のバイオジェット燃料計画は世界中に有るが、BAのこのプロジェクトが実用化第一号であり、英国がこの分野においてリードしていることを示している。

 都市廃棄物からの燃料で環境に負荷をかけること無く旅行ができるのは、本当に喜ばしいことである。
カテゴリー : 他メディアより | Posted By : dantesforest |
 
ページ: Prev 1 2 3 ...129 130 222 223 224 Next
Aug 2025 9月 2025 Oct 2025
  1 2 3 4 5 6
7 8 9 10 11 12 13
14 15 16 17 18 19 20
21 22 23 24 25 26 27
28 29 30     
にほんブ�前村
カテゴリー
Factor Five [220]
General [13]
ブログ管理人 [315]
他メディアより [577]
リーセント
北極海氷、2番目の小ささ
地球環境の救世主になるトランプ?
Oceans’18Kobeを訪ねて。
第三回国連環境総会
気候変動は国際社会の責任
トランプに消されるEnergy Star
トランプ大統領の誤算
ドイツ市民の誇り
水中CO2センサー
6年ぶりのメキシコ
アーカイブ
7月 2012[77]
6月 2012[80]
5月 2012[93]
4月 2012[97]
3月 2012[98]
2月 2012[68]
1月 2012[96]
12月 2011[100]
11月 2011[99]
10月 2011[109]
9月 2011[111]
8月 2011[97]
ユーザーリスト
Admin[5]
dantesforest[1120]
検索
組織化
Powered by myBloggie 2.1.4