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15 Oct 2012 06:11:05 am |
政府主導で輸送改革 |
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トラック長距離輸送を鉄道輸送に変えたドイツの国家プロジェクト
地球温暖化ガス(GHG)の23%は交通から排出されているが、その内35%が貨物輸送によるもので、この部門は年率2.3%で増加し続けている。
貨物輸送で最もエネルギー効率が良いのは鉄道輸送で1トンの貨物を1km運ぶのに0.09MJ(メガジュール)のエネルギーが消費され、6gのCO2が排出される。
船舶輸送では0.17MJ, 15gで、大型トラックは3MJ, 200gである。小型トラックでは21MJ, 1500gに跳ね上がる。
大型トラックで行っている長距離輸送を鉄道や船舶に変えれば、大幅なエネルギー効率の向上が期待できる。しかし、現状の枠組みでは容易ではない。トラックやけん引台車を鉄道や船舶で運ぶとトラック会社は鉄道や船会社から運送代金を請求されこれがトラック会社の経営を圧迫するので、現実的では無い。
この問題を解決する為に、ドイツではドイツ鉄道(DB)がトラック輸送大手のシェンカ―(Schenker)を買収して北はフィンランドから南はイタリアまでの長距離輸送部分を鉄道に切り替えた。その為に全地域に24のトラックターミナルを整備し、数分間でトレーラーでけん引されてきた台車を鉄道に乗せ換える事を可能にした。(写真)
その結果、1日に13,300の長距離トラック輸送が無くなり、300万個/日、240億トンkmの貨物輸送が鉄道に置き換えられた。これは、ドイツ鉄道(DB)にとっては重要な収入増となった。
この様な変革は、政府主導の貨物輸送とロジスティクス・マスタープランの策定により実現された。政府の資金援助と指導力なしには実現不可能であった。この計画を実施するにあたり、余剰となるトラック運転手の職場確保と、特別退職金等の処置が取られた事は言うまでも無い。このドイツの成功例を見て、フランス、英国、アメリカも同様の計画を策定中である。
DB-Schenkerの案内のURL:
http://www.logistics.dbschenker.ch/file/1415022/data/hang3.pdf
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カテゴリー : Factor Five |
Posted By : dantesforest |
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14 Oct 2012 02:51:33 pm |
輻射熱冷暖房 |
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空気(断熱材)を暖めたり冷やしたりするのはエネルギーの無駄遣い
読者の皆さんの中には欧州を訪れた方も多いと思う。欧州には中世に作られた古城がたくさんある。これらの城を真冬に見学に訪れた方は気が付いた事と思うが、城内を案内されて回ると、客間、大広間、執務室、寝室がみんなだだっ広い割に結構暖い。中世の城にはエアコンは無い。暖房器具としてあるのは広い部屋の片隅にあるタイルでできた立派な「カッヘルオ―フン」である。これはたいてい部屋の隅にあり、焚口は壁を挟んだ部屋の向こう側に有り、たいてい台所である。焚口で薪を燃やし、その熱で料理を行ったり湯をわかしたりしている。その熱は壁を通って反対側のカッヘルオ―フンを暖める。カッヘルオ―フンは分厚い粘土で作られており、外側はセラミックのタイルで覆われている。このセラミックが遠赤外線を出して部屋中を輻射熱で暖めている。
我々が現在使っている冷暖房はエアコンである。エアコンは文字通り空気を暖めたり冷やしたりして部屋の温度を調整する。部屋は空気で満たされているので空気の温度を調整すれば快適になると言う考えであるが、空気は断熱材である。断熱材は熱を伝達しにくく、貯熱の効果も無い。90度のお湯には入れないが、90度のサウナには入れるのがその理由である。その空気を暖めたり冷やしたりするのは多大なエネルギーが必要である。
カッヘルオ―フンは遠赤外線を輻射する。遠赤外線は光で可視光線の波長が長い赤色の外側に位置するので、遠赤外線と言われている。遠赤外線が皮膚に当ると、皮膚中の水分が運動を起こし発熱するので暖かく感じる。
中世の城で体験された方は覚えて居られると思うが、カッヘルオ―フンは意外と暖かいのである。室内の空気の温度が低くても体感温度は暖かい、快適な暖房である。エネルギーの消費はエアコンの半分以下である。料理に使った排熱の利用と考えれば、もっと効率は上がる。輻射熱冷暖房は今後発展すると思われる。
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Posted By : dantesforest |
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13 Oct 2012 08:54:52 pm |
タブレットPCは省エネ |
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減少の一途をたどるデスクトップPC
デスクトップPCは徐々にノートPCに置き換えられている。その理由は、大きさ、重量、材料の量、消費電力、騒音、発熱などによる。タブレットPCはノートPCよりも更に全ての面で小型軽量である。
ここに掲げる表は欧州(EU+スイスとノルウェイ)におけるデスクトップPC、ノートPC、タブレットPCの設置台数の推移(推計値)と置き換えによる材料の節減、消費電力の削減、それによる地球温暖化ガス(GHG)の削減量を表したものである。
2010年にデスクトップPCから、ノートPCとタブレットPCに置き換えられた為に約208メガワット時(20万8千キロワット時)の電力消費が節電され、2020年には1GWh(100万kW時)の省エネになる。これは典型的な原発1基あるいは石炭火力発電所1基分の電力に匹敵する。
これにより2010年には40万トン、2020年には200万トンのCO2換算のGHGが削減される事になる。
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カテゴリー : Factor Five |
Posted By : dantesforest |
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12 Oct 2012 04:56:25 pm |
ITと持続可能な社会 |
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IT無しには持続可能性社会の実現は考えられないが、課題もある。
IT(Information Technology, 情報通信技術)は目覚ましい発展を続けて来た。IT機器の大きさ、重量、使用されている材料、消費電力は初期のIT機器の1000分の1以下になっている。ITは今後も高性能化、小型化、省電力化し続けてゆくであろう。今後はITが他の産業の資源生産性の向上の為の中心的要素になって行く。
EUは2008年に「EUが今後も発展して行くのに最も重要な事は、エネルギーを含めた資源消費量と経済発展を切り離すことである」としており、これにはITが果たす役割に大きな期待がされており、ITは持続可能性社会のコアと言える。
しかし、現状はIT産業そのものにもまだ問題を抱えており、ITを使った技術にも課題は多い。
●一次的課題。IT産業そのものの資源生産性の問題、例えばIT機器の消費電力、待機時の消費電力、サーバーセンターの巨大な電力消費の問題、スパムメール等によるIT資源の無駄遣いの問題などがある。それより最も大きな問題は、IT機器のリサイクル率の低さと言う問題である。現在世界で年間5千万トンの電子系廃棄物が処理されている。2008年には3億台であったPCが2015年には20億台になると予想されており、電子系廃棄物の量は増加の一途である。現在リサイクルされているのは20%程度で、その他は埋め立て処分されているのが現状である。
●二次的課題。ITが産業界で使われる事により、大きな省エネ効果がが実際に出ている。在宅勤務、電子請求と支払い、スマートグリッド、ビルオートメーション、ロジスティックなどで「最適制御」により資源生産性が大幅に向上している。従来有ったものがITに置き換えられたもの、例えばTV会議は出張を無くし、ディジタル写真は銀塩フィルムを無くした。しかし、携帯電話の様に以前には世の中に無かったものが出現して、その為に資源が使われる「誘導効果」も合わせ持つ。
●三次的課題。ITの発達により長期的に起きる社会習慣の変化、経済構造、工業構造の変化がある。これはエネルギー消費に頼らない持続性社会を作る大きなチャンスをもたらすが、ITの発展により、いままで想像もできなかった新しい資源消費が進む産業が興る可能性も含めて注意をし続ける必要がある。
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Posted By : dantesforest |
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11 Oct 2012 05:54:42 am |
電力固定買い取り制度 |
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人類は過去には再生可能エネルギーしか使っていなかった。
何千年かの人類の歴史で人力や家畜の力以外で動力源として使われてきたものは、水力、風力と言う再生可能エネルギーだけであった。
化石燃料の発見、さらに電気が動力源に使えるようになってからは、水力発電と言う例外を除いては、再生可能エネルギーに対する興味が急速に衰え、産業界、経済界から忘れ去られ、姿を消してしまった。
再生可能エネルギーが再び姿を表したのは、1970年代のオイルショックからである。その後1980年代に起きたチェルノブイリの原発事故と、このころから科学者達が化石燃料の浪費によるCO2の排出で気候変動が起きているとの主張も有って、再生可能エネルギーは再び注目をされるようになった。
各国は競って開発と市場への売り込みを始めた。デンマークとドイツでは再生可能エネルギーが経済的に成立する様な法律が作られた。ドイツでは1990年に再生可能エネルギー法(EEG)と電力固定買い取り法(FIT)である。
ドイツの当時の政府であった、社民党(SPD)と緑の党(Gruen)の連立政権は再生可能エネルギーの発電設備の投資額が完全に償却が終わり、何年間か利益を生むくらいの期間にわたり高額な買い取り電気料金を保証するような、補助金制度とFITを作った。
日本では、奇しくも2011年3月11日の東北大地震当日の午前中に菅内閣により閣議決定され、本年2012年7月からFITが実施されている。この効果は大きく太陽光パネルの設置は9月現在昨年比150%以上の伸びを示している。
つい最近まで、経産省、資源エネルギー庁、マスコミ、お偉い先生方はこぞって、太陽光や風力はお天気任せであてにならないエネルギー源なので、期待できないと言っていたのが、いとも簡単に再生可能エネルギー賛成に変わっているのが面白い。
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Posted By : dantesforest |
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