ダンテの森    
05 Oct 2012   06:57:28 pm
安いエネルギー価格の弊害
安いエネルギー価格が都市周辺に車なしでは通勤さえできない住宅地を造成した。

 ファクター5ではアメリカでのエネルギー政策の失敗がリーマンショックの原因であったとの仮説を唱えている。これについては当ブログの2011/9/17と2012/2/6でも取り上げているので、参考にしてもらいたい。

 乗用車に対する課税が引き上げられた事に対抗したデトロイトはトラックの税金並みで乗用車の豪華さ快適さを備えた新カテゴリーSUVを発明した、大きな重い車体と4輪駆動と豪華な車内、大きな強力なエンジンを備えており、燃費は3〜6km/ℓと大変に悪い。この車を使って会社に通勤する事は多くのアメリカ人の夢となった。

 この車なら片道100kmのフリーウエイも苦にならないと、都市の周辺に新たな宅地が造成されて行った。図は1992年から1997年までの間に農地や山林から宅地に転用された土地の面積の多い順に色分けして示したものである。数十㎢単位での住宅地開発が行われた。山手線の内側の面積は65㎢であるのでその規模が分かる。

 この住宅の殆どは住宅価格の毎年の値上がりを前提に組まれた超低金利の長期間ローンで低所得者に販売された。住宅価格相場が上がるとローンの組み換えをする事で、手元に現金が残ると言う奇妙な仕掛けであった。

 しかし、これはガソリンは安いものとの仮定の上に成り立っていた。原油価格は1998年には1バレル9ドルと安く、ガソリン価格は1ガロン(3.7ℓ1ドルもしなかった。これは1ℓ20円以下と言う安さである。原油は値上がりを続け2000年には35ドルとなったが、それでもガソリン価格はガロン2ドル程度で我慢ができた。

 ところが2006〜2008年にかけての原油は急騰し一時140ドルを超えた。これは中国とインドがその経済発展の為に価格を厭わず原油を買い付けた事に起因しているが、140ドルを超えたのは、機関投資家に依るものである。年金基金等の巨大なファンドを持つ機関投資家が設けをたくらんで原油を買い付けた為に急騰した。

 ガソリン価格はガロン3ドルを超え、SUVでの長距離通勤は不可能となり、周辺の住宅地の人気は下がり住宅価格は下落した。それがサブプライムローンの破綻につながり、リーマンブラザースの倒産になった。

 エネルギー価格を市場に野放図に委ねるとこのような結果が待っているとの教訓であった。

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04 Oct 2012   06:06:00 am
持続可能都市展示場
GreenBiz.com 2012-10-02 Mark Alan Hughesの記事より

持続可能都市が唯一の人口問題に対する解答――シーメンスCEO

 今月に入ってシーメンスはロンドンに持続可能都市の展示場をオープンした。この展示場の名称はザ・クリスタル(The Cristal)でLEED認証を受けたモニュメントとでも呼ぶべきものである。

 ドイツの多国籍企業シーメンスは、世界最先端の産業用テクノロジー、エネルギー、医療、インフラを持ち、強大な財政力を誇っている。この企業は、最近多額の投資を持続可能な都市開発に行っている。持続可能とは資源生産性の向上、水資源の保護、スマートグリッドによる電力の双方向利用を指しこれらの技術が新たな産業サイクルとして、従来の石油、自動車などに代わる産業になると見据えた上での投資である。

 このような、大規模な計画は常に政治との暗い関係が取り沙汰され、疑いの視線で見られがちな分野である。そのようなことにはお構いなく、オープニングには世界から300人以上の市長が招待されて参加していた。国連人間居住計画(UN-HABITAT)のジョアン・クロス(Joan Clos)事務局長がオープニングの挨拶を行った。その中で、2050年には世界人口の65%が都市に居住することになり、持続可能性を計画した都市でなければ成り立たないことを強調した。

 シーメンス、都市インフラ担当CEOのローランド・ブッシュ(Roland Busch)氏は持続可能都市はもはや挑戦ではなく、唯一の解答であるとした。なぜなら増加し続ける人類が生存できるのは都市しかないからであるとした。現在、全世界の人口の22%が600の大都市に居住しており、そこで世界のGDPの51%が生産されているのである。

 シーメンスは欧州では電機部門を持った銀行との異名を持つが、グリーン経済への一番乗りを目指しているようである。
ブログ管理人も4半世紀にわたり勤務した経験の有る企業であるので、今後とも注目して行きたい。

原文URL:
http://www.greenbiz.com/news/2012/10/02/siemens-new-hq-faith-cities
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03 Oct 2012   12:38:36 pm
環境負荷の少ない海運
日本の地形は沿岸海運に最適

 今日のNHK BSの海外ニュースでFrance2を見ていたら、セーヌ川を輸送手段として見直すと言うトピックスがあった。パリはセーヌ河の交通の要所としてローマ時代にLutetiaと呼ばれた町を元にできている。パリの大手のスーパーマーケットはパリ郊外の物流拠点からセーヌ川を使ってコンテナを輸送し、パリ市内でコンテナを陸揚げしてトレーラでスーパーマーケットに運ぶと言う方法を始めたと言う。パリに向かう高速道路は万年渋滞であるが、セーヌには渋滞が無い。その上何と言っても船は一隻で26本もの40フィートコンテナ―を運べ、燃料消費もトラック輸送とは比較にならない位少なく環境負荷が少ない輸送手段である。

 欧州では長距離輸送には船が多用されている。ラインーマインードナウの3つの大河川が運河でつながっており、オランダのアムステルダムから欧州を縦断して黒海までの10数カ国をつないでいる。河岸の大都市にはコンテナーターミナルを備えた港湾施設や税関が完備され水運に活用されている。

 日本は海に囲まれており、最も沿岸海運に適した地形をしているのに拘わらず国内海運は伸び悩んでいる。現在、国内輸送はトラック輸送55.8%、内航海運39.5%、鉄道4.5%、航空0.2%であるが、内航海運は1990年の2450億トンキロをピークに減少し続けており、2010年には1800億トンキロになった。

 図は、1トンの貨物を1キロメートル輸送するのに必要なエネルギー量をジュールで表したもので、青字はその時に出るCO2の量である。日本は持続可能性社会に向かい輸送のモーダルシフトを真剣に考える時が来ている。

日本内航海運組合総連合会のホームページを紹介するURL:
http://www.naiko-kaiun.or.jp/index.html
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02 Oct 2012   08:35:40 am
115年間で最高の猛暑
日経電子版 2012-10-01 22:54より

9月の残暑、115年で最も厳しく 51地点で最高値

 気象庁は1日、9月の天候まとめを発表した。都市化による温度上昇の影響が少ない全国17地点の同月の平均気温が平年を1.92度上回り、統計が残る1898年以来115年で最も厳しい残暑だった。これまでの最高は、平年より1.80度高かった1999年。地点別の平均気温も札幌や青森、盛岡など北・東日本を中心に51地点で観測史上最高を更新した。

 同庁によると、9月上旬から中旬にかけて北・東日本は太平洋高気圧に覆われて晴れの日が続いたことや、南から暖かい空気が流れ込んだことに伴い、北日本(北海道、東北)で同月の平均気温が平年を3.7度上回り観測史上最高を記録。東日本(関東甲信、北陸、東海)も平年より1.9度暑かった。

 地点別の月平均気温は札幌が22.4度、青森が23.5度、盛岡が23.2度となるなど、いずれも平年を4度以上上回って観測史上最高を更新。首都圏でも東京が26.2度、秩父(埼玉)が23.0度と1999年に並ぶ最も厳しい残暑となった。

 一方、9月下旬に入ると湿った空気の影響により曇りや雨の日が多く、北日本の記録的な残暑も収まった。

原文URL:
http://www.nikkei.com/article/DGXNASDG01054_R01C12A0CR8000/

 以上が日経電子版の記事であるが、かねてからIPCC(国連気候変動の為の政府間パネル)が提唱しているとおり、地球温暖化に伴う気候の狂暴化が進んでいる事は明らかであり、その原因が人類の化石燃料の無分別な浪費に有る事も下のグラフで明らかである。ぼく達に残された時間は少ない。

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01 Oct 2012   10:49:09 am
iPhoneのリサイクル
GreenBiz.com 2012-09-24 Brue Kennedyの記事より

iPhone5の発売でIT機器のリサイクリングが活性化するか

 IT機器のリサイクルは、日本では2001年に施行された資源有効利用促進法により、回収―リサイクルが各メーカーに義務付けられており、携帯電話やノートPCが埋め立てられるような事は無くなっているが、アメリカでもIT機器のリサイクリングが新しいビジネスとして育ちつつある。

 Tuile’sはサンディエゴに本拠を置く、携帯の買い取り専門業者である。全米のショッピングモールに無人買い取りキオスクを設置して使用済み携帯を回収している。

 金属再生大手のグリーン・テクノロジー・ソリューションズ(GTSO)社は、IT機器回収のペースを上げており、同業のGlobalCellBuyersを買収する予定で、ラテンアメリカで回収事業を展開する企業とも買収交渉に入っている。

 全米で、2010年1年間で2,500万トンのIT機器が廃棄されている。これらには金、リチウム、ネオジミウム、その他のレアアースが多量に含まれているので、貴金属資源の宝の山なのである。

 しかし、コロラドのワイアレス・アライアンス社によるとiPhoneには別の市場があるとしている。同社は全米14000の回収拠点から、月間8000台の使用済み携帯を回収しているが、回収したiPhoneの99%は再生されて、中古品として販売されていると言う。その為、iPhonehは殆ど、貴金属リサイクルには回されていないのではないかとしている。それはそれで、資源保護の意味からは好ましい事である。

 アップル社はこれまで通算2億4千万台のiPhoneを販売しているが、同社は2007年の販売当時以来、独自のリサイクル・プログラムでiPhone の回収を実施し、70%を回収している。

原文URL:
http://www.greenbiz.com/blog/2012/09/25/iphone-5-new-era-e-waste-recycling
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