|
21 Aug 2012 06:01:51 am |
豊かさ≠GDP |
|
|
豊かさをGDPであると思う習慣を変える
昨日のブログで書いたIPATの式は豊かさ(生活の快適度=Affluence)は一人当たりのGDPで示すが、確かにGDPとCO2は比例している。では、本当にGDPは豊かさと比例しているのだろうか。そろそろ豊かさはGDPとは関係が無いと言うことに気づく時がきている。GDPの増大は豊かさの増大にはならない事を知るべきである。GDPは売上の総合計であると言える。企業家は売り上げが下がる事は経済の縮小であり企業にとっては悪であるとする。
今年は猛暑であるが、7月の電力消費は昨年比で6.3%減で685億キロワット時で、特に家庭の消費は-12.4%の192億キロワット時で有ったと言う。これは好ましい事であるが、売上が6.3%下がる事は電力事業者にとっては悪である。
日本の水道水の品質は世界に誇れるものであるのに、ペットボトル入りの水が売れている。これを豊かさと呼ぶのであればやはりGDP=豊かさは正しいと言えよう。冷え過ぎたビルの冷房をエネルギーの無駄遣いと考えるか、豊かさと考えるのか、日本特有の炎天下に立つ飲料水の自動販売機を豊かさと考えるのか、多すぎる肉食、糖類、油脂を使った料理は健康を損なうだけでなく環境負荷も大きいが、これを豊かさと考えるのだろうか。これらはすべて同じ問題である。持続可能社会ではこれらを少なくして環境負荷(I)を減少させる必要がありGDPは下がるが、これが豊かさを失う事にはならない。
2002年のヨハネスブルグ会議では持続可能な消費がテーマに取り上げられた。国連環境計画(UNEP)はIPATの式を取り上げて「環境負荷(I)が減少する豊かさ(A)を目指す」と提唱した。
白熱電灯が非効率的である事はやっと常識になってきたが、真冬にスーパーの棚にならぶサクランボがハウス栽培でどれだけのエネルギーを消費した結果であるのか、あるいはチリから何万キロもジェット機で運ばれて来たものか、に思いを巡らす人はまだ少なく、中には豊かさを感じる人さえいることだろう。環境問題を知ること、知らせることは大変重要である。
|
|
| |
カテゴリー : Factor Five |
Posted By : dantesforest |
|
|
|
20 Aug 2012 05:58:01 am |
豊かさとGDPの関係 |
|
|
右肩上がり経済の終焉を理解する時が来ている
政治家はどんな事が有ろうと経済は右肩上がりに発展し続けるようにする事が自分が選ばれた理由であると考えている。その為に新しい産業を興し職場を確保し、そこからの税収が国家の財政を好転させると考えている。
これまで経済発展を続けて来た事が地球の温暖化を加速してきた。つまり、持続可能な発展では無かったことになる。そもそも無限に経済発展が続くと考えること自身、持続可能性を無視した考えであることには気づき始めている。例え資源を5倍に使うと言うファクター5を全ての分野で達成したとしても、増大し続け2050年には90億人になる人類の経済発展をし続ける事は持続可能とは言えない。
昔の人達が持っていて現代人が忘れているものに「つつましさ」が有る。これは英語のサフィシエントにあたると思うが、効率を意味するエフィシエントと共にペアをなして持続可能性社会を作る為のキーワードになると思う。
経済界にも政治にも認められるサフィシエントを上手に表現したものが、1970年代にPaul EhrlichとJohn Holdrenにより提唱されている。 I = P × A × T IPATの式である。Iは環境負荷(Impact) 、Pは人口(Population)、Aは生活レベル(Affluence)で一人当たりのGDPで表し、Tは技術革新(Technology)を表している。 PとAは増大の一歩をたどって来ており環境負荷を増やし続けている。Tのみが技術革新によってIの環境負荷を少なくできる可能性をもつファクターである。
中国は有名な一人っ子政策でPの増大を最小化する事に成功した。中国は過去20年間に著しいAの増大を行った。中国政府は彼らがPを抑制した事でどれだけ環境保護に貢献したかを主張していたが、コペンハーゲン合意以降は少し変化が現れて来ている。インドにとっては参考にするべき政策である。
ファクター5では主にTについて提案をしているが、Aについても無限に増大し続けることはできないと主張している。しかし、Aを少なくする、つまり経済発展にブレーキをかけると言う政治家は居ない。経済を後退させると公約して当選する事はないからである。
Aを一人当たりのGDPで測る事をやめる時が来ている。GDPは必ずしも生活の快適性を表してはいないからである。大渋滞の高速道路で消費された燃料はGDPを押し上げるが、車に閉じ込められた家族は快適では無かったはずである。
生活の快適さ、豊かさとGDPとを切り離して考える時が来ている。
|
|
| |
カテゴリー : Factor Five |
Posted By : dantesforest |
|
|
|
19 Aug 2012 11:57:19 am |
楽器と環境保護 |
|
|
GreenBiz.com 2012-8-16 Heather Clancyの記事より
昔の保護貿易主義者が作った法律が世界の森林を守っている
レイシ―法として知られるアメリカの森林保護法は112年の歴史が有る。当時の共和党の議員で保護貿易主義者のレイシ―氏により米国内の林業保護の為に作られた法律であるが、この共和党が作った法律が世界の森林を守っている。
ブルースやジャズには欠かせないアメリカの象徴的なギターメーカー、ギブソン・ギター社はこのレイシ―法を骨抜きにする為のロビー活動を長年続けて来たが、2011年11月に連邦野生動物局からマダガスカル産の黒檀とインド産の紫檀が違法伐採されたものと知りながら輸入していた疑いで、ナッシュビルの社屋を家宅捜索されていた。
米国の家具メーカーや建材メーカーはレイシ―法を守る為に多大な労力と費用をかけて輸入元の国で材木が違法に伐採されたものではないかどうかの調査をし、証拠となる書類を揃える努力をしている。 また、最近は森林保護協議会(FSC)が証明書を出して、輸入される木材が合法的に伐採されたものであることを証明している。FSCはさらに、社会的環境、例えば違法な程の悪条件で働かされた労働者が従事していないかとか、就学児童を労働力に使っていないかなども、その判定基準にしている。
床材メーカーのアンダーソン樫の木床材(Anderson Hardwood Floors)では、コスト高になったとしても、消費者に良いイメージを与える市場効果の面でプラスに働いているとしている。
現実にレイシ―法には効果が有り、違法伐採は22%減少した。
ギブソン・ギター社は、連邦政府に26万ドル分のフィンガーボード用の黒檀を差し押さえられていたが、この度、和解を決定し連邦政府に30万ドル(2,280万円)の罰金と、国立野生動物基金に5万ドルを寄付することにした。
同じくギターメーカーであるC.F.マーチン社は、この法律のおかげで我々は原材料がどのような環境で生育され、どのような人達により伐採されているかを現地に赴いて自分の目で確認する事を行っている。これは会社全体が環境に対してのかかわりを自覚する事に役だっていると、前向きである。
一国の規制法が環境保護に役立った一例である。
|
|
| |
カテゴリー : 他メディアより |
Posted By : dantesforest |
|
|
|
18 Aug 2012 07:30:46 am |
木を分子から見る |
|
|
持続可能型社会での木の使い方
何万年、何十万年と言う時を経てできた化石燃料を人類は汲み上げ、一瞬にして燃やしてCO2に変えてしまう。自然界での時間の営みと、人類の時間の営みの差がひずみを生んだものが環境破壊である。
木は地球上で最も大きな生物である。アメリカ・ヨセミテ国立公園のレッドウッドは120mにもなる。寿命も最長数千年と長く、多くの森や他の生物を支えている。切り倒された後も建築材料として使われ、法隆寺のように1000年を経た今も建築物を支えている。
三重大学の舩岡正光(ふなおかまさみつ)教授は木を分子レベルから研究しており、木を木材や紙としてしか使わない現在の使い方は、実にもったいないとしている。
木を材木として使う場合、必要な形を切りだした残りは殆ど木屑となり、バイオマスとして燃料になるのが関の山である。紙として使われる場合はセルロースだけが取り出され残りはやはりバイオマスとして燃やされ、何百年もかけて成長した木は一気にCO2となり大気に放出されている。
木の分子材料としての機能を生かす使い方を舩岡教授は提案している。木からリグノフェノールと言う工業材料を常温・常圧で作る事ができる。この原材料から木製プラスティックができるので、いろいろな工業製品を作る事ができる。そしてこの製品寿命が終わると、更に分子レベルで分解して、今度はより小さなサイズの別の分子材料となり、紙や繊維製品となる。この製品寿命が終わると更に小さな分子材料になり、電気部品などに使われる。そのように少しずつ形を変えてだんだんとCO2に戻って行く使い方が持続可能性社会における材料の使い方である。ゴミと言うものを作らない工業社会をデザインする事がグリーン経済への移行である。
次のURLに詳しい。
http://www.miraikan.jst.go.jp/sp/deep_science/topics/18/01.html
|
|
| |
カテゴリー : 他メディアより |
Posted By : dantesforest |
|
|
|
17 Aug 2012 11:44:42 am |
資源を5倍に使う |
|
|
多くの戦争は資源の確保がその目的にであった
8月15日は日本では終戦記念日としているが、東南アジアの国々ではたいてい「対日戦勝記念日」である。この記念日になると普段は埋もれていたナショナリズムが湧きあがって来るものである。いま、日本周辺では領土問題が俄かに注目を浴びている。世の戦争は資源確保が目的の場合が多い。自国を豊かにするためにはもっと資源が、食糧が、エネルギーが必要と、尊い人命を賭してまで戦争をする。
一方、エネルギーは8割が無駄に使われており、食糧は1/3が捨てられており、資源がリサイクルされているのは10%に満たないし、貴重と言われているレアアースのリサイクル率は1%以下である。人類はこれまで資源を掘り出してはゴミの山を築くだけの社会に生きて来た。
人類が残した最大のものはゴミの山である。地球温暖化ガスも人類が掘り出したCO2、つまりゴミである。地球から360kmも離れた人工衛星軌道上にも宇宙ゴミを捨てている。人類と言う生物はゴミを作る為に生れて来たのだろうか。
原油の価格が上がると、シェールガスや、オイルサンドや、メタンハイドレートなどを掘り出して使おうとする。これ以上化石燃料を掘り出して燃やしてCO2を出すのは止めにするべきだ。
エネルギーの使用は1/5にできる。資源も80%リサイクルできる。建築物も50年で建て替えるようなものではなく200年も300年も使えてエネルギーを使わない建築物を作る技術が既に有る。農業は点滴灌漑農業にする事で水、肥料、農薬の使用が1/5になる。自動車もとりあえずは燃費を100kmを3リッターで走る燃費にしておいて、都市計画を再構築して車に頼らない社会にする事ができる。これが豊かさはそのままで資源を5倍に使う「ファクター5」の考え方である。
もしも、人類が産業革命の直後に「ファクター5」に気づいていれば愚かな戦争は起こら無かったかも知れない。
|
|
| |
カテゴリー : ブログ管理人 |
Posted By : dantesforest |
|
|
|
ページ: Prev 1 2 3 ...152 153 222 223 224 Next |