ダンテの森    
16 Aug 2012   05:56:43 am
米国の産地直販
アメリカ消費者の環境意識の表れか

 米国農務省の報告によると、2011年の全米のファーマーズ・マーケットの数が前年より9.6%増えて2,864個所になったとのことである。

 もともとアメリカのフードマイレージ(食料品がどの位遠方から運ばれてくるのかを示す指標で、国民が食べる食糧1トンが何キロメートル運ばれてきたかを示す。単位はトン・キロメートル)は少なく1,051である。ちなみに日本は7,093、英国は3,195、ドイツは2,090、フランスは1,731である。昨今のローカル・ブームで地元農家が作る農作物を好んで購入する都会の消費者が増えている。

 大量のCO2を排出して長距離を運ばれてくる農作物は、熟れる時期よりかなり早い時期に収穫されて低温輸送されて来て、スーパーマーケットの店頭に並ぶ頃に熟れるように調整されているが、ファーマーズ・マーケットの作物は食べ時に熟した作物が地元農家によって販売されているので美味しい。

 また、広大な土地で同じ作物を栽培するモノカルチャーは生物多様性の面からも環境負荷が大きい。

 ただ、フードマイレージだけで環境負荷は測る事ができない。例えばトマトを英国でハウス栽培するよりもスペインで作って船で運ぶ方がトータルエネルギー消費量は少ないと言う例も有る。

 また、農産品輸出に頼っている貧しい国々の人々から収入源を奪う事もできない。すべてのバランスを配慮した消費者の行動が重要であり、その為の適切な情報が消費者に届くようなシステムも必要である。

 アメリカ東西海岸の大都市でのファーマーズ・マーケットの数が多く、その増加率も多いのは、大都市市民は環境問題に敏感であると言えそうである。

 この傾向が単なる内向きナショナリズムの表れではない事を期待したい。

農務省報告の原文

http://www.ams.usda.gov/

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15 Aug 2012   12:37:33 pm
御愛読御礼
皆様のおかげ様で1周年を迎える事ができました。


 今日で開始1年を迎えたブログ「ダンテの森」の管理人です。海外出張の移動時間の関係でどうしてもアップできなかったのが何日か有りましたが、お陰さまでほぼ毎日1ページのペースを崩すことなく昨日で361ページを数えました。

 現在1日に200人から400人の人がこのブログを読んでくれているようです。ちょっと覗いてすぐに出るヒット数(Hit数)は毎日2,000から4,000の間で、これには間違ってダンテの森に来てしまった人もふくみます。だいたい、300人位の人が本当に読んでくれている人(Visitor数)のようです。やはり、書いている側としてはこのビジター数は気になる数字です。増えると嬉しいし元気になりますが、減ると何が悪かったかといろいろ反省もします。

 昨年の3.11の約半年後の終戦記念日である8月15日に意を決してブログを始めました。太平洋戦争の原因もエネルギー問題であったとも言えると思ったからです。地球温暖化の原因は人類の放漫なエネルギーの消費であり、今使っているエネルギーを1/5にしても現在の快適さを損なう事は無い、と言う考え方に立つドイツの環境学者エルンスト・フォン・ヴァイツゼッカー教授の「ファクター5」を基にこのブログを書いて居ます。記事の60%はこの本からです。残りは、ブログ管理人の文であったり、内外のニュースからエネルギーに関する環境問題を取り上げています。「ファクター5」の日本語版を来年の早いうちに出版すべく仲間のボランティア翻訳者は着々と翻訳を進めています。

 電力会社の省エネキャンペーンは、冷房の温度を上げる、使わない機器のコンセントを抜く、冷蔵庫のドアの開閉は短時間になどと省エネ=快適性を犠牲にすることには大変力が入っていますが、建物を外断熱にすることや、窓枠を断熱構造にするなどのパッシブハウス基準にする事でエネルギーが80%も節約できることや、商業ビルのLEED基準化でやはりエネルギーが80%節約できる事を広報する事は積極的では有りません。電力会社の売り上げが1/5になる事は望んでいないからです。日本固有の無駄遣いの典型、屋外の飲料水の自動販売機は全国に600万台有りこれだけで原発2基分の電力消費です。実行すれば必ず消費電力が下がるに決まっているサマータイムは話題にすらされません。ロンドンオリンピックがこれまでで最もエネルギー消費が少なかったグリーン・オリンピックで有った事も知らされないで終わりました。

 エネルギー消費が下がる事は誰も望んでいないかのようです。シェールガス、オイルサンド、メタンハイドレートなど、新たな化石燃料の採掘の話をまるで「希望」のように話す評論家たちを見ていると背筋が寒くなります。かつては省エネ先進国だった日本を取り戻す為に、ブログ「ダンテの森」は頑張りますので、皆様のご愛読をお願い致します。
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14 Aug 2012   09:57:08 am
オリンピック結果
ロンドン・グリーンオリンピックの伝統はリオに引き継がれるか

 ロンドン・オリンピックが閉幕した。日本のマスメディアが全く注目しないロンドン・グリーン・オリンピックの結果をドイツの雑誌シュテルン(Stern)電子版8月8日版がまとめている。

建築物:金メダル
 前回北京の鳥の巣に較べロンドンのオリンピック・スタジアムは1/10の鉄材しか使用していない。その上殆どの鉄材はリサイクル品である。屋根は古いガスパイプが使用された。ハンドボール場の銅の外板、水泳競技場のアルミニウム屋根もリサイクル材である。自転車競技場は木製で、完全自然空調構造で換気も電力を使わないシステムで、協議終了後は解体され材木は全て再利用される。

リサイクル:銀メダル
 ここ以外英国中どこにも見られない5種分別のゴミ回収システムが用意された。食べカスは全てコンポストするように、容器、ナイフ・フォーク、皿等全て生分解性材料で作られた。パンフレット等の印刷物は全てリサイクル紙である。回収されたゴミの73%は再利用され、残りは発電所の燃料となり電力になった。ただ、観客はゴミの分別に慣れていないので、多数のボランティアのガイドに関わらず分別は守られる事がなかったので、金メダルには届かなかった。

電力源:失格
 オリンピック施設全体は省エネ設計が徹底され、総電力使用量は2メガワットに抑えられた。計画当初建設されるはずであった風力発電所は実行されずに終わりゼロエミッションは達成されなかった。

水:銀メダル
 雨水利用の中水道がトイレ、清掃、庭木、芝生に使われた。ホッケー場のみが水道であった。

食事:銀メダル
 ケータリング会社は可能な限り近距離から食材を購入する事に努力した。

輸送;金メダル
観客は公共交通機関、徒歩、自転車のみでの観戦が可能であった。オリンピック入場券にはロンドン交通1日券が一緒に配られた。史上初の公共交通機関のみ利用のオリンピックであった。
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13 Aug 2012   10:37:44 am
賢い企業人の選択
グリーン・ウエーブはもう来てしまっている。

 グリーン経済への移行と聞くと、どこかの環境保護団体のスローガンか何かで企業にとっては負担にこそなれ、直近の利益には結びつかないと考えている企業人が今でも多いのではないだろうか?

 いずれの企業も大なり小なり環境対策に関わりを持っている。水質問題、排水・排気の問題、産業廃棄物問題、その他の公害問題など、いずれも企業負担としか捉えられていなかったからである。

 しかし、今やまちがいなくグリーンの波はやって来ている。他の企業よりも早く環境問題を積極的に戦略的に企業戦略に取り入れることが持続可能社会において企業としてリーダーシップを取れるチャンスを得る事ができる。

 世界のマーケットリーダーであるGE、イケア、トヨタ、3Mは既に波に乗っている。この波に乗った企業は収益も上がっている。
エール大の教授、ダニエル・C・エスティー(Daniel C. Esty)著の「グリーン・トゥ・ゴールド」と言う本によると「ビジネスの世界に打ち寄せるグリーン・ウエーブから逃れられる企業はどこにも存在しないということだ」とある。

 BPのCEOのジョン・ブラウン卿は地球温暖化ガスの排出を減らす事を全社に指示し、3000万ドルのコストをかけたが、数年間で6億5千万ドルのコスト削減を達成し、2006年までに15億ドルのコストを削減した。

 賢い企業は、環境問題に戦略的に取り組んで競争優位を確保する。

 今や、省エネは小さな節約ではない。2010年度に全米では1兆円の省エネが実施された。グリーンビル(省エネビル)の市場は全米で40兆円の市場を形成している。世界では100兆円市場である。

 省エネを矮小化して考えていてはグリーン・ウエーブに乗り遅れる。


この本はアマゾンで購入できる。
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12 Aug 2012   12:27:42 pm
航空業界のグリーン化
航空輸送に対するCO2排出規制に反対する法律が米国議会を通過

 米国の航空会社に欧州が定める排出権取引協定(EU ETS, Emission Trading Scheme)に加盟することを禁止する法案が昨年12月に上程されていたが、8月2日に夏休み中の為に審議されぬまま上院を通過した。下院は同法案を既に可決している為に、法律として発効する為にはオバマ大統領が署名するのみである。グリーンピースや環境保護のNGOは大統領に署名をしないようにロビー活動を強めている。

 航空は一人の旅客が一定距離を移動するのに最も環境負荷が大きい輸送手段であり、現在は総地球温暖化ガス(GHG)排出量の2%であるが、年率28%で増加している最大の増加率を持っている分野である。

 EU ETSは欧州に拠点を置く航空会社のみにとどまらず、欧州内の空港に離発着する路線に対しCO2の排出量に応じた環境税を支払うか、排出権の購入を義務付けるものである。中国はすでにこの協定に加わる事を禁じる法律を施行しており、ロシアはアメリカと協調歩調を取ることに決めている。日本は態度を保留している。

 アメリカはこの協定に反対する16ヶ国を8月にワシントンに集めて2日間の会合を持ち全会一致でEU ETSに反対する決議をした。しかし、決議文などは出されていない。また、この会合で環境負荷対策についてはICAOで協議することが採択されたとしている。欧州各国は長年にわたってICAOに対し環境負荷対策を議題に取り上げるように働きかけて来たが保留されてきたので、この面では一歩前進したと言えるが、ICAOは3年に一度しか会合が開かれず、次の会合は来年である。

 EU ETSは、アメリカが国際法違反として上訴していたが2011年12月に欧州裁判所は国際法を冒すものではないとする判決を出している。

 EU ETSは例えば東京を発ってロンドンに向かう航空便にはその全路線に渡るCO2排出量を計算の対象とするもので、反対国の主張は欧州域内に入った路線を加算するのはともかく全路線に渡って加算するのは納得できないとしている。ちなみに、CO2は短時間で拡散する為に常に地球上のCO2濃度は場所によらず一定である。

 イギリスの航空会社バージン航空は、廃油から航空燃料を作る技術で、ゼロエミッションを目指しているし、ドリームライナーと呼ばれるボーイング787は東レの炭素繊維の全面採用で40%の燃費向上を達成しており、EU ETSのような規制は航空機業界のグリーン化を促進する効果を持つ。
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