ダンテの森    
11 Aug 2012   06:52:42 pm
東北にグリーン都市を
未曾有の危機を持続可能社会建設のチャンスに

 仏教には「変毒為薬」と言う言葉がある。毒を変じて薬と為すと読むが、意味は危機や不幸をチャンスに変えると言う意味である。

 2008年に起きたリーマンショックから始まった世界的な経済危機は、考えられない程の悲惨な事態を生んだ。人々は、これで安心と思っていたところが、家を、財産を、仕事を失い、中には飢餓の恐怖さえも味わう思いをする事になった。政治はこの悲惨な状況から一刻も早く抜け出せるようにと対策を講じた。その迅速な危機管理は有る程度効を奏し、1930年の世界的恐慌から世界大戦へとの悲惨な事態こそは回避した。

 しかし、この経済危機は「グリーン経済」への移行を始める事ができた最大のチャンスであった。もとより原油価格の高騰に因を発した経済システムの破綻は、高エネルギー依存から低エネルギー依存型経済に移行する大きな動機となりえたはずであったのに関わらず、安易にもと来た道に戻ってしまった。グリーン経済に戦略的に移行することで新たな職場を確保すると言う政策を取った国は現れることは無かった。最大のチャンスは生かされること無く見送られた。

 現在日本は東北大地震からの復興が直面の課題である。特に東北沿岸部の津波により全滅した都市の復興は持続可能都市いわゆるグリーン都市建設の最大のチャンスである。政府、地方公共団体が地権者と真剣に都市の未来を話し合ってグリーン都市建設の為に全くの白紙の状態から新しい都市を作る事ができると思う。ファクター5には都市のデザインの考え方について、可能な限り、日常の生活、公共サービス、医療サービスは徒歩圏で受けられる事、通勤・通学は自転車圏に、都市内の移動はライトレール等の再生可能エネルギー利用の公共交通機関で行う等の都市計画を提案している。

 東北に持続可能な都市の建設は新たな雇用を生み、東北の経済復興が行える。出来上がった都市は、人と人の絆を身近に感じることのできる住空間と、高齢者も自分で生活が可能な都市、自転車と徒歩で殆どの生活が営め、更にCO2を出さす環境負荷も少ないグリーン都市ができれば、日本がグリーン経済のリーダーたり得る資格を得ると同時に、復興を応援してくれた世界への最大の恩返しになる。
カテゴリー : ブログ管理人 | Posted By : dantesforest |
10 Aug 2012   06:15:52 am
長期の動的エコ税制
投資家にも労働者にも利益をもたらす持続可能社会に向かって

 先進工業国における労働生産性の向上は、全ての階層において多量の失業者が発生している現在、すでに最重要課題とは言えなくなっている。もちろんトップクラスの頭脳は世界中から求められており、その価値は天井知らずに上がっている。その一方で、普通の教育レベルを持った人も含め数百万人が職場を求め求職活動を余儀なくされている。

 資源の効率化を単なる市場競争の為の要素とすり替えようとする事は職場の現象を招く可能性を含んでいる。このような場合、強い政治的リーダーシップで税制の改革により規制を行う必要が出てくる。省資源は必ず企業にとって有益であること、そして新たな職業訓練を伴わない職場の削減は引き合わない事を税制上の仕掛けで担保する必要がある。これがエコロジーに基づいた税制の改革である。

 1970年代に起きたオイルショックでは期せずしてその実験が行われる事になった。高騰した原油価格は、単に新たな化石燃料を探索する事に投資するよりもエネルギーをいかに効率的に使うかに投資する方が有利で有る事を証明する結果となった。

 図はエネルギーの重要度を示すものである。縦軸は100万ドル(7800万円)のGDPを達成する為に使われたエネルギーの総量を原油のトン数に換算したものである。原油価格が上昇した時期にエネルギーの重要度は下がっている事が示されており、まさにこれが期待されているグリーン経済への移行のパターンである。

 「ファクター5」では数々の産業分野における80%もに達する革命的な省エネの実例を紹介しているが、これが新たな経済の波となる為の、爆発的なダイナミズムを得る為には、省資源は資本家にも労働者にも利益をもたらすと言う事が長期にわたり担保されるような税制上の仕組みを作る必要がある。
これが長期的でダイナミックなエコ税制改革である。

カテゴリー : Factor Five | Posted By : dantesforest |
09 Aug 2012   09:51:54 am
世界のCO2の現状
JRC News 2012-7-18より

2011年、世界のCO2排出量は増加の一途、中国とインドが大幅増加

 欧州ジョイント・リサーチ・センター委員会(JRC)の発表によると、地球温暖化の主要因であるCO2排出量は2011年度に3%増加して340億トンになった。

 世界で最も多い人口(14億人)の中国の一人当たりの排出量は7.2トンとなった。米国の一人当たり排出量は、景気の後退と原油価格の高騰で2%減少したが、17.3トンとダントツの世界一位である。

 欧州では景気の後退と原油価格の高騰の為に3%の消費量の減少、日本でも2%の減少となったが、欧州、米国、日本の減少分の合計は中国(9%)とインド(6%)の増加分で帳消しとなり、その他の新興国の増加分が上乗せされた。特に中国の増加は多量でその主要因は鉄鋼とセメントの生産に化石燃料が使われている為である。

 2011年度のCO2排出量は上位から、中国29%、米国16%、欧州11%、インド6%、ロシア5%、日本4%である。

 累積排出量は2011年現在で4200億トンとなった。地球温暖化を2℃以内に抑えようとする為には2050年に累積1兆5千億トン以内にしなければならないが、このままの推移が続くと後数十年でこれを超過する事になる。

 ファクター5では、鉄鋼の省エネには鉄のリサイクルで鉄鉱石からの製鉄をやめること、セメントはジオポリマー・セメントに換える事でエネルギー消費を最大1/5に抑える事が可能であると実例を上げて提案している。

原文は次のURL:
http://edgar.jrc.ec.europa.eu/news_docs/CO2_emissions_until_2011.pdf
カテゴリー : 他メディアより | Posted By : dantesforest |
08 Aug 2012   07:35:07 am
農業の環境対策
環境意識の低さを助長する農業補助金

 農業が地球温暖化ガス(GHG)総排出量の18%を占めている。農業と言うと環境に最も優しい分野では無いかと考えがちであるが、この高いCO2排出量の殆どは農業用水を確保、輸送、貯水、処理、分配するときのエネルギー源が出すGHGによるものである。

 農業の効率化や農地利用の再生可能エネルギー発電は他の産業に較べて進んでいない。世界各国で行われている自国の農業の保護政策の為の補助金が農業の資源効率化や再生可能エネルギーに向けられることはなく、これまで通り漫然と森林破壊につながる農地の開発、環境を破壊するほどの肥料や農薬の散布に使われているだけである。

 さらに、農業に対する水道料金や電気料金も補助金により低く設定されている国が多い。安い電気料金と水道料金は、節電や節水への意欲をそぎ、無駄な消費が促進されている。

 食糧の自給を重んじて支出される農業補助金が、農業分野の省エネ意識の低さを招いている。

 図は、OECD国のうち特に極端な傾向を示す国の、産業別の水道料金を示している。環境保護を促進するような補助金制度を農業政策立案者は考えるべきである。
カテゴリー : Factor Five | Posted By : dantesforest |
07 Aug 2012   07:25:58 am
冷戦時代の成果
ジオポリマーはソ連がセメント不足に対抗するものとして再発見

 セメントは世界で年間2.5ギガトンと言う途方も無い量が製造される工業製品で、その時に1.8ギガトンのCO2を排出して、世界の地球温暖化ガス(GHG)排出量の6%の責任がある。新興国の建設が進む中2050年にはセメントの需要は5ギガトンになると予測されており、CO2環境負荷は3.6ギガトンの排出量となる。

 これは現在広く使われているポートランド・セメントの場合であって、これをジオポリマー・セメントに変えることで70%のGHG排出が減少されることが解っている。

 このジオポリマー・セメントを再発見したのは、ウクライナの科学者ビクター・グルコブスキー(Viktor Glukhvsky)である。1960年台のソ連のセメント不足を補うためにポートランド・セメントの代替品を研究していた。鉄鋼の盛んなウクライナで多量に廃棄されていた高炉スラグをセメントとして使う研究を進め、住宅、鉄道枕木、土管、上下水道水路、工場の床、プレキャスト建材等広く使われるようになった。しかし冷戦期間中でこの技術が西側に知られる事は無かった。1990年になって始めてジオポリマー・セメントが学会に発表されたが、注目を浴びることは無く1994年と1999年の会議録に掲載されただけで終わっている。

 2006年に「アルカリ活性セメントとコンクリート」と題して発表されたものにオーストラリアの研究者が着目して、2008年にグルコフスキーと共同でメルボルンに研究所を設立してこの研究所から発表している。

 この中で、ジオポリマー・セメントは強度が優れていること、耐酸性、耐塩素性に優れ寿命が長いこと、凝固時の酸素の透過度が少ない為に骨材の鉄骨や鉄筋が錆びる事が無く強度が保てることなどの優れた面が報告されている。

 ジオポリマーの名付け親はウクライナの科学者で1970年台にセメント技術研究をしていたジョゼフ・ダビッドビッツ(Joseph Davidovits)である。彼はエジプトのピラミッドは巨石を積み上げたものではなく、その場で型枠にジオポリマーを流し込んで作った人口石で出来ていると主張したが、エジプト政府は否定している。

 この段階ではジオポリマーがエネルギーを使わない事には全く着目されていない。現在コンクリート建築の寿命が50年と言うのが常識になっているが、ジオポリマー・セメントにすれば150年〜200年になると言われており、大きな省資源となるが、建設業界などには有りがたく無い話しとして歓迎されていない。
カテゴリー : Factor Five | Posted By : dantesforest |
 
ページ: Prev 1 2 3 ...154 155 222 223 224 Next
Aug 2025 9月 2025 Oct 2025
  1 2 3 4 5 6
7 8 9 10 11 12 13
14 15 16 17 18 19 20
21 22 23 24 25 26 27
28 29 30     
にほんブ�前村
カテゴリー
Factor Five [220]
General [13]
ブログ管理人 [315]
他メディアより [577]
リーセント
北極海氷、2番目の小ささ
地球環境の救世主になるトランプ?
Oceans’18Kobeを訪ねて。
第三回国連環境総会
気候変動は国際社会の責任
トランプに消されるEnergy Star
トランプ大統領の誤算
ドイツ市民の誇り
水中CO2センサー
6年ぶりのメキシコ
アーカイブ
7月 2012[77]
6月 2012[80]
5月 2012[93]
4月 2012[97]
3月 2012[98]
2月 2012[68]
1月 2012[96]
12月 2011[100]
11月 2011[99]
10月 2011[109]
9月 2011[111]
8月 2011[97]
ユーザーリスト
Admin[5]
dantesforest[1120]
検索
組織化
Powered by myBloggie 2.1.4