ダンテの森    
02 Jul 2012   06:11:36 am
先進国を真似ないで
発展途上国は即刻ジオポリマーセメントに切り替えるべき

 当ブログでは、製造時に大量のCO2を発生するポートランドセメントに代わるものとしてジオポリマーセメントを2011年の8/20, 9/7, 11/17, 12/11に紹介した。ジオポリマーセメントは現在一般にセメントとして使われているポートランドセメントに較べ80%も製造時のCO2の発生量が少ない。

 このセメントはアルミニウムシリカ・セメントとも呼ばれ、アルカリ活性化した火山灰、高炉スラグ、フライアッシュ、カオリナイト、金属成分を含むスラグ等を原材料に作られる。ポートランドセメントの製造工程で石灰石を1350℃の高温で焼結する時に石灰石から放出されるCO2と高温を得るために燃やす燃料からCO2が大量に放出されるが、ジオポリマーセメントでは原材料の一つである水ガラスと苛性ソーダの製造時に多量のエネルギーを消費する為にCO2の放出があるだけで、ポートランドセメントに較べると80%の省エネになる。

 ジオポリマーはアルミニウムシリカの粉末とアルカリシリカ溶剤の化学反応により作られる。古代エジプト人やローマ人はアルミニウムシリカ粉末は火山灰を使った。産業革命の発祥の地であった英国には火山灰が無い為に、たまたまポートランドに豊富にあった石灰石を使ってセメントができないものかと考えられたのがポートランドセメントでそれが世界中に広まった。

 製鉄所から出る高炉スラグや石炭火力発電所から出るフライアッシュも原料になる。日本やドイツにおけるこれらの産業廃棄物の再利用はかなり進んでおり、高炉スラグは日本では50%、ドイツでは88%が、フライアッシュは日本では80%が、ドイツでは25%がすでに特殊セメントの材料として使われている為か、日本とドイツのセメント業界はジオポリマーセメントへの転換の機運は無い。日本ではコンクリート建造物の寿命は50年と言われてビルの建て替えが行われているが、ジオポリマーに変えると建造物の寿命が数百年にも延びるのは、建設業界やセメント業界にとって好ましくないからと言うのは、穿った見方と言うべきであろうか。

 現在、世界で最も大量のセメントを使用しており、今後も2030年までは消費の増加が続くとされる中国とインドでは、高炉スラグもフライアッシュもほとんど再利用されることなく廃棄されている。中国の石炭火力発電量は世界一で大量のフライアッシュが出ているのにかかわらずである。

注)フライアッシュ:石炭火力発電所では石炭を小麦粉の様な粉末にして少量の水と混ぜてバーナーから噴霧して燃やす。燃えカスは細かい灰でフライアッシュと呼ばれる。
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01 Jul 2012   09:00:11 am
大飯原発再稼働
非課税の調整運転期間

 今日から関西電力大飯原子力発電所が稼働を始める。

 今日から少しずつ制御棒を原子炉から抜き原子炉を臨界状態に持って行く。いろいろなテストを基準書に従って行い営業運転に入るが、それまでの期間を調整運転期間と言う。調整運転期間に発電された電気には課税されないと言う事は余り知られていない。それでは調整期間に発電された電気は売られないのか、そんなことは無い電気は送電線に乗れば需要家に送られ電力会社の売り上げとなるのである。調整運転期間が長くなればなるほど電力会社は儲かる。どこまでも電力会社は儲かる仕組みである。

 ぼくたちがどんどん省エネをして原発分が要らなくなったら電力会社は原発はをやめるだろうか、やめないだろう。それは原発の方が発電コストが安いとされているからだ。使用済み核燃料の処分に掛る膨大な費用は政府が負担する事になっており、電力会社の発電コストに算入されていないからである。

 大量に出る有毒性の強いプルトニウムは半減期が2万4千年だが、その処理方法は地下に埋めるだけである。直下型地震や地殻変動が将来起きないと誰が補償するのか。そのころはどうせ今の電力会社の経営陣も政治家も、政府の官僚もこの世にはいないと思っているのだろう。未来永劫まで負の遺産を残す原発は電力会社の懐を温めるだけのものだ。

 さらに今回、政府は原発の寿命が40年と言っていたものを60年に延長した。ポンコツも事故を起こすまでは安全であると言う事らしい。防災と言う言葉が空しい。
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30 Jun 2012   06:15:06 am
バイオ燃料
現在のバイオ燃料は持続可能な開発を助けない

 代替燃料や再生可能エネルギーの話を農業分野の人と話すと必ず話題は「バイオ燃料」になる。アメリカでは原油価格の高騰にともない、まるで集団酩酊状態でバイオ燃料が誇大に語られている。

 マレーシア、インドネシアや西アフリカの国々の広大な面積の熱帯雨林がパームヤシに植えかえられ、ブラジルの熱帯雨林は破壊されてサトウキビ畑となり、いまやエネルギー経済の一翼を担うまでになってきた。

 自然保護主義者や環境学者達も一時はバイオ燃料に希望を託した時期があった。米国と欧州では自動車用のバイオ燃料が環境を救うとバイオ燃料市場形成の推進役となった。これは我々の犯した大きな間違いであった。

 国連環境計画(UNEP)に出された報告によると、バイオ燃料の長所のみが誇大に評価され、短所は知らされていないとしている。特に顕著なマイナス面は自然熱帯雨林がパームヤシの林に置き換えられることで、熱帯雨林を取り巻く大気の成分、メタン、笑気ガス、CO2の大量移動が起き分布が変わった為に熱帯雨林の破壊が進むと言う事である。またブラジルの熱帯雨林がサトウキビ畑になることは生物多様性の観点から間違ったことである。また、バイオ燃料用の作物と食用作物の耕地面積の取り合いの為に食用トウモロコシの耕地面積が減り、最貧国の人々の中心的な食糧であるトウモロコシ価格が高騰すると言う人道的な問題もある。現在、バイオ燃料は自然保護運動家の攻撃の的となっている。

 農業や林業から得るバイオ燃料は第二世代に移行することが望ましい。第二世代バイオ燃料とは、セルロースを基本とした燃料で、エタノール、バイオディーゼル、ブタン、メタノール、MTHFで、原料として考えられているのは、間伐材、成長の早いポプラやユーカリ、あるいは葦などである。製造にはこれら原料をまずバクテリアによりセルロース化して糖化工程に移る為に時間がかかり、収量もパームヤシやサトウキビに較べて少なく、広い耕地面積が必要となる。現在、セルロース化を促進する技術の開発が進められており、第二世代バイオ燃料が市場に登場する日も近い。
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29 Jun 2012   05:58:31 am
リオ+20を終えて
持続可能性社会は民間がリード

GreenBiz.com 2012-06-25 By Tensie Whelanの記事から

 リオ+20は6月22日で閉幕した。予想通り開発途上国と既開発国との利害が一致することは無く、政治的には全て先送りとなったが、民間セクターの成果や活動を一堂に見ることができ、グリーン経済への移行への民間の取り組みが進んでいる事を感じることができた。

 NGOと企業が協力しての持続可能性への国際的な取り組みは成功の道筋を示唆しており、各国政府には企業やNGOを見習ってもらいたい。

 20年前のリオサミットは歴史的であった。持続可能な開発、生物多様性、森林保護、そして気候変動について数々の野心的な宣言や条約が採択され、近い未来とは言わないが何か未来に明るい見通しが開いたと感じたものであった。持続可能な社会へ政界経済が移って行く予感があった。

 そして20年が経過した。政治家達は20年前と殆ど同じことを話し合っているが、世界の数多くの企業やNGOは国境を越えて活動をして進んでいる事こそが持続可能性社会の足音である。企業は環境保護の観点から原材料の調達先を選ぶことを初めている。例えば製紙工場や家具メーカーが調達先が森林保護を行いながら木材を輸出しているのかを選択条件にし、その現地の森林保護の状況はNGOが行っている評価を採用している。このように新しいビジネスモデルが形成されていることは持続可能性社会のDNAともいえよう。

 今日、世界経済の10%はすでに何らかの形で持続可能性との関わりを持ちながらビジネスをおこなっている。しかし、10%では問題解決にはならない。100%に近付ける為には政治の力が必要となる。グリーン経済への移行は各国政府による法整備や規制が必要であるからだ。

 今回、リオ+20から何のお土産も持たずに自国に戻った政治家達は帰国した後すぐに行動をおこすべきである。

原文:
http://www.greenbiz.com/blog/2012/06/25/some-good-news-and-next-steps-take-rio

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28 Jun 2012   06:57:12 am
ゴミの無い社会に
ゴミ処分場への投棄から焼却、リサイクル、都市鉱山へ

 数百年にわたってゴミは衛生上の問題でしかなかった。道路や街を清潔に保ち、農業、手工業、家庭からできるだけ遠ざかったところにゴミは溜めておかれた。食品ごみは、コンポストにされるか家畜の飼料にされた。一昔前の工業においては殆どの材料は再利用されるようなシステムが作られており、出されるゴミの量も少なかった。

 19世紀になってそれまでは考えることができなかった様な大量のゴミ、石炭ストーブから出される石炭の燃えカスが出されるようになり初めて廃棄物処理が問題となった。それ以来ゴミの排出量は増加の一途をたどっている。

 プラスティック、ガラス、釘やヒンジの付いた木材、家具、日用品、事務機器がゴミとなっている。かなりの間ゴミは都市近郊に貯めておくことが一般的であった。しかし、虫やネズミの発生、地下水の汚染、悪臭などによりこの方法は継続が不可能となった。最近は、ゴミの投棄は禁止となり焼却炉による処理が一般的になってきている。処理時にだされるヘドロは肥料に変わるが、重金属の混入が無いかに神経をとがらせる必要がある。

 1980年代に入っていくつかの国、特に日本とドイツではゴミを資源と考える動きが出て来た。ゴミの中から再利用可能なものを見つけ出して資源とすることでゴミの量も減らす事ができる一石二鳥の考え方である。

 ドイツでは1980年代に包装廃棄物政令が出された。この法律により、販売業者は包装材の直接回収か回収システムを用意することが義務付けられた。これはまさにグリーン経済の誕生の瞬間とも言えるできごとであった。これにより70%が再利用されるようになった。次の段階は都市鉱山と言われる貴金属やレアメタルの回収である。ドイツでは1996年に循環経済・廃棄物法が制定された。

 ゴミの処理法として現在一般化している焼却炉による処理は衛生面や大気汚染面には配慮されたシステムになっているが、貴金属やレアメタルの回収には向いていないので、新技術の開発が望まれている。ゴミを出さない製品設計が求められている。
このテーマについては林哲裕氏著「ドイツ企業の環境マネジメント戦略」に詳しく取り上げられている。

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