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22 Apr 2012 10:57:14 pm |
船舶輸送の省エネ |
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ファクター5が可能な船舶の省エネ
海上輸送は陸上のトラック輸送に較べて25〜50%もエネルギー効率が良い。しかし、世界の海上輸送から排出されるGHG(地球温暖化ガス)は9億6千万トンで5%に匹敵するが、世界の物流量は増える一方で現在値から2020年を推定すると32〜72%の増加が見込まれ、その影響は更に大きくなると予想される。その為、海運業界には船舶の省エネが要請されており、次の様な研究が行われている。
■燃料電池を天然ガスを使って動力源とする研究。現在のディーゼル機関に較べ50%の省エネとなる。米海軍の研究によると、まずディーゼルからガスタービン発電機にすることで30%が、さらにPEM(個体高分子型)燃料電池で発電し、発熱で蒸気タービンを回して発電する複合システムで64%の効率アップが可能としている。
■船底に付着するフジツボ等の貝類や藻による船舶の燃費の悪化は40%に上るとされている。これらの付着を防ぐ船底塗料の開発により3億8千万トンのCO2排出量を減少する事ができる。
■居住区の断熱を良くする事で暖冷房に掛るエネルギーが15%節約できる。
■マイクロバブルによる摩擦の低減で15%の省エネ。オランダのDKグループは船底に細かな気泡を噴き出す事で船体全体の摩擦抵抗を少なくする技術の開発を行っている。現在プロトタイプが作られ2〜3%の造船コストの増加で15%の省エネが可能であるとしている。
■係留中船舶への100%陸上電源の供給で係留中の排出ガスを90%低減。
■インペラー推進(ジェット推進)により10%の省エネ。
■コンピュータ制御の帆走併用で40〜50%の省エネ。
■低速運行で省エネ。船の速度を2倍にすると燃費は8倍悪くなる。
これらを総合的に行う事でファクター5は十分可能である。
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カテゴリー : Factor Five |
Posted By : dantesforest |
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21 Apr 2012 05:54:08 am |
都市排水の再利用 |
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都市近郊農業を都市排水で灌漑する
2005年の国連食糧農業機関(FAO)の報告によると7億人が都市及び都市近郊の農家から農作物の供給を受けている。
そして都市の1000世帯が出す排水の合計はちょうど1戸の農家が必要とする灌漑用水の量に匹敵する。現在殆どの都市排水は利用される事無く河川に放流されている。
FAOの推定によると、既に50カ国の2千万ヘクタールの農地が直接あるいは間接的に都市排水で灌漑されている。これは世界の耕作地域の10%に上る。表はアジアの国々の都市排水の量を示しており単位は100万立方メートルである。これらは工業用水としての再利用か地下水へ戻すことが考えられる。
都市にとって都市排水と雨水が周辺の農地の灌漑用水として使われることは、農作物の安定供給にも寄与し大変望ましい。都市近郊農業の発展は輸送距離の短縮や冷蔵保存の為のエネルギーの節約になる。
イスラエルでは都市排水を一次処理して農業灌漑用水として使っている。ヨルダンもこれと同じ考えである。
米国カリフォルニアでは25億立方メートルの都市排水を処理して中水道としてゴルフ場の散布用とトイレの洗浄様に使用している。次の段階としては2次処理後の水を飼料用作物の灌漑に、3次処理後の水は野菜・果物ように使うことである。
これらを達成する事でこの分野では容易にファクター5が実行できる事が分かる。
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カテゴリー : Factor Five |
Posted By : dantesforest |
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20 Apr 2012 07:12:47 am |
サーモグラフィー |
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市街地サーモグラフィーで地域単位での省エネ計画に役立つツール
建築はGHG(地球温暖化ガス)排出量が一番多く40%を排出している。地域差はあるが、おおざっぱに言ってオフィス商業ビルではその50%が、住宅では30%が暖冷房に消費されている。
ファクター5では建築物をパッシブハウスにする事で、建築物の消費エネルギーを80%以上削減が可能である事が紹介されており、このブログでも何度も取り上げている。
従来の建築物は余りにも断熱が悪く、家庭やオフィスで消費される暖冷房の為のエネルギーの殆どは、建築の主な構造体である柱、壁、窓を通して外に漏れてしまっている。これは構造体に使われる材料が熱の良導体である事から起きている。室内を暖冷房しているつもりが、街全体を暖冷房しているようなものである。建物を断熱効果のある材料で包み込み窓はガス入りペアガラスや断熱フィルムを貼る事で解決でき、これは新築に限らず改築でも十分な効果が得られ、外断熱と呼ばれている。
サーモグラフィーと言う技術が有る。物体から放射される赤外線の分布を写真にする技術で、数年前にインフルエンザが流行した時に空港に設置され入国する旅行者の顔を撮影して体温の高い人を見つけ出していた、あれである。温度が高いと黄色く、低いと緑から青に表示される。
4月19日のGreenBiz.comによると、この技術を使って建築物の温度の漏れの状態を地域単位で見る事ができる技術が開発された。米国マサチューセッツ州ケンブリッジのベンチャーEssess社は建築物のサーモグラフィーを高速に移動する自動車の頭に取り付けたマルチスペクトル・サーマル・ハイスピード・カメラで連続撮影してデータを収集する技術を開発した。これにより集められたデータはグーグルアース的な閲覧ツールを使って見る事ができる。
地方公共団体、コミュニティー、デベロッパーなどが地域の省エネ設計をする上で有効なデータを提供する事をビジネスにしようとしている。
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19 Apr 2012 06:02:01 am |
製鉄の省エネ |
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水素還元製鉄はホープ
製鉄はGHG(地球温暖化ガス)排出量の7%の責任があり、セメントと並び単一産業としては大口のCO2排出源である。
1995年の資料によるとドイツの製鉄が最も効率が良く18GJ/t、1トンの鉄を作るのに必要な熱量を18ギガ(10の9乗)ジュール使っている。最悪はインドの37GJ/tで、世界平均は28GJ/tである。ちなみに日本は22GJ/tである。
製鉄業界では熱源を現状では90%は石炭であるのをリサイクル燃料に置き換える研究が行われている。
オーストラリアの研究所によると30%をプラスティック廃材に置き換える事が可能であるとしている。米国鉄鋼研究所(AISI)によると車の古タイヤ、ゴム廃材、廃油などが、有毒物質を大気中に放出しない方法が確立されればと言う条件で代替燃料として使用が可能であるとしている。
最先端技術としてはCO2排出量がほぼゼロになる水素還元製鉄が研究中である。通常、石炭から出る一酸化炭素を鉄鋼石に反応させて鉄鉱石中の酸素を取り去り還元を行うのがあの100mもの高さの高炉で行われている製鉄であるが、この時大量のCO2が発生している。しかしこれを水素で行うと出てくるのは水(H2O)だけでCO2は全く出ない。また、水素分子は炭素分子に較べて小さいので鉄鉱石の奥深く入り還元を行う事ができるので反応時間が1/5に短縮でき省エネになる。
次のURLで水素還元製鉄の詳しい説明とアニメーションを見る事ができる。
http://www.jisf.or.jp/course50/tecnology01/
これ以外に、昔に戻って木炭で製鉄を行う方法が有る。木炭による製鉄は60%のGHG排出量削減が可能であるが、この為にむやみに森林が伐採されると別の環境負荷が増えてしまう事になる。
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18 Apr 2012 05:59:08 am |
中国の農業近代化 |
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現状のままの中国農業こそが持続可能社会にマッチ
中国では農業分野に於いて理想的な資源の効率利用が行われているが、残念な事にそれは経済の発展に伴い崩れようとしている。
まず、この国の高い食糧自給率は食糧の長距離輸送による輸送の為の燃料消費を抑える事でフードマイレージに貢献している。
高密度の野菜生産は比較的に狭い耕地面積で無駄なエネルギー消費を行う事無く多くの人の胃袋を満たしている。中国の農業は労働力集約産業であり、農民の報酬は驚くほど低く抑えられている。中国では100ヘクタールに300人が就労している。米国では2人で、世界平均は27人である。
当然、農業の機械化は遅れており1000ヘクタールにトラクターが6台である。アメリカでは27台、世界平均は18台である。
中国の農業で非常に高いものは肥料の使用量で1ヘクタール当り279kgで、世界平均の2.5倍である。しかし、この大半は農作物そのものが堆肥となって使われており、エネルギーを大量消費する化学肥料使用を最低限に抑えている。化学肥料は1902年にドイツのフリッツ・ハーバーとカール・ボッシュによって発明され、高圧と高温を必要とするアンモニアの製造法は発明当時「水と石炭からパンを作る」と持てはやされ現在も広く使われているが、1トンの肥料を作るのに30GJ(ギガジュール)を必要とする。因みに鉄1トンを作るのには20GJのエネルギーを必要とする。
しかし、中国政府は都市部と農村部の格差の是正を図るために農村部への機械化の推進を行い、農業へのエネルギー注入を行おうとしている。点滴灌漑などを使った省エネ農業を目指して貰いたい。
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Posted By : dantesforest |
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