ダンテの森    
08 Mar 2012   05:57:17 am
エネルギー価格の誘導
長期的環境税によりエネルギー価格の上昇を誘導

 省エネにより生じるエネルギー消費量の減少がエネルギー価格を押し下げるとそれによる消費の増加が起きる事を防ぐために、環境税によりエネルギー価格を中長期にわたり継続的に上昇させる政策が必要であると、ファクター5の著者フォン・ヴァイツゼッカーは繰り返し述べている。

 この政策は最低でも50年間程度の間エネルギー価格が上昇し続けるように環境税を調整しながら誘導する必要がある。価格が市場経済の中で無理なく上昇を続ける事ができるように変動の許容範囲を定めた帯(図参照)を設定して、帯の上下限値の間で有れば価格は自由に変動できるようにしておく。価格が限度を超えそうになると政府は市場介入をして修正を行う。

 途中、この政策を中断させるような強力な力や帯の幅を広げるような圧力がかかる場合もあろうし、石油枯渇が現実的になったり中東情勢や異常気象が続いたりすると価格が上がる事になるであろう。過去に労働賃金と労働生産性の関係においても生産性が上がっても賃金が上がらなかったりその逆で有った時期も歴史的に起きている。

 経済学者はこの考え方への評価は外部コストの内部コスト化であるとする。しかし、この場合厳密な計算をして価格への反映をする必要はない。地球温暖化や生物多様性の問題は計算で値が求められるものではないからだ。

 エネルギーと地下資源の消費は人件費よりも高くつくと言うことが証明されるだけで良い。課税の対象が人件費からエネルギー費に変わることで財務会計の考え方も変化してくるであろうことを望む。そうすればより省エネを指向する企業や国家の財政は良い方向へ進むことになる。この長期的環境税は技術革新、インフラ、消費者の考え方を変え投資家や市場が持続可能社会へと志向するようにしむけるものである。
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07 Mar 2012   11:38:08 am
オフィスの省エネ機器
人の動きを検知して照明と空調をコントロール

シーメンス社は照明と空調の省エネをする人感センサーを発表した。
――2012年3月6日のシーメンス・プレス・リリース
  Siemens Building Technology Div. Switzerland

 人の動きと存在を検知する人感センサーは照明とHVAC(暖冷房換気システム)を最適にコントロールして40%の省エネを可能にする。

 この人感センサーは人の動きのみでなく存在も検知し、室内の明るさと現在時刻の組み合わせで、あらかじめ決められた照明器具のグループを段階的に制御して必要のない照明を点灯しないようにする。同時にHVACに情報を送って空調の無駄をなくす。これにより事務所内の明るさと快適性は一定に保たれたままで40%のエネルギーの省エネが可能になる。

 この製品はシーメンス社の環境ポートフォリオの一部である。

 同社は環境ポートフォリオで2011年度に約3兆円を売り上げており、これらを使用しているユーザーが達成したGHG(地球温暖化ガス)の年間排出量低減はCO2換算で3億2千万トンになったとしている。
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06 Mar 2012   06:03:23 am
フードマイレージ
遠くから燃料を使って運ばれる食料品

 フードマイレージは食糧の輸送量と輸送距離を表す指標である。

 1994年のイギリスの消費者運動家でロンドン大教授のティム・ラング(Tim Lang)が提唱した。日本では国内有機農業の振興を目的とした環境NGO大地を守る会が広めた。同団体のサイトは結構楽しめるので紹介しておく。

http://www.food-mileage.com/

 ファクター4ではドイツで売られているイチゴヨーグルトの原料、パッケージ、添加物の輸送量の合計が8000kmになる事を取り上げている。そしてその殆どがドイツ国内で供給可能である事を述べている。

 地産地消が望ましいと言う考え方であるが、ご存知の通り遠くから来るものの方が価格が安い場合が有り、消費者がフードマイレージの少ないものに価値を認めて例え高価格で有っても環境に優しいと言う理由で購入する必要が有る。

 次は代表的な国の国民一人当たりのフードマイレージである。
  (単位:トン・キロメートル)
日本    7,093
韓国    6,637
英国    3,195
ドイツ    2,090
フランス  1,731
USA    1,051

 ただ、トマトはスペインで栽培して運んだ方が英国でハウス栽培をするよりは収量当りのエネルギー消費は少ない等の例があり、地産地消が必ずしも省エネにはならない場合もある。
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05 Mar 2012   05:56:32 am
水資源の有効利用
水不足は世界の緊急課題

 農業は世界の水資源の70%を消費している。

 農業における水の消費は米、麦、トウモロコシ、豆などの作物の種類、畜産、酪農などにより大きく異なり、さらに国により使用法や用水路の整備の度合いが異なる事により差が出る。

 穀物類1kgの収量に対し国により0.4~5トンの水を消費する。畜産(鶏、牛、豚)では1kgの食肉を生産する為に2~32トンの水を消費する。中国、アメリカ、インド、ブラジルの主要生産国での水の使用量には大きなばらつきがある。

 人口増加による食糧の不足が農業用水の需要を増やし、都市部への上水道の供給がさらに水不足に拍車をかけている。各国は水資源利用の効率化を緊急に図る必要があるが、長期的な水資源の持続可能性を踏まえた計画が必要である。

 中国は深刻な水不足と耕地面積の不足に直面している。中国では現在1ヘクタールの耕地面積で10人分の食糧を生産しており、これは世界平均の4.4人の倍以上である。その上国家政策により食糧自給率は100%であるので、農地は2毛作、3毛作で疲弊しつつある。中国の灌漑率は40%で世界平均の18%よりかなり高い。因みにアメリカの灌漑率は18%である。

 しかし、中国の灌漑用水の内30%しか作物の根の部分には到達しておらず70%は蒸発、地面への吸収、漏水で消えている。インド、ブラジルでも大差は無い。

 地下点滴灌漑を行う事で95%の水資源の節約が可能であることは2011/9/19と2011/9/20に書いた。
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04 Mar 2012   06:22:34 pm
グリーン建築の安全性
グリーン建築は省エネ、健康、快適そして安心・安全

GreenBiz.com 2012-03-02 Adam Astonの記事から

 グリーン建築が省エネ建築のことで有る事はこのブログの読者には新しい事では無い。また、グリーン建築は居住者にとって静粛、快適で健康に良い事、職場とすると作業効率が高くなり、病欠率が下がると数々の研究が報告していることは既に何度か取り上げている。

 しかし、安全性はどうであろうか?

 グリーン建築は良く吟味された材料を精密に加工し、高い精度での仕上げが要求される為に、それだけを聞いても直感的に堅牢で耐久性が高いと想像させる。

 全米グリーンビル協議会(USGBC)とミシガン大学の共同研究チームが今週発表した報告によると、エネルギー効率を追求して設計・施行されたグリーン建築は短期・長期の気候変動にも強い事が分かった。

 グリーン建築に居住するとまず気付く事は、ドアを開閉するときにまるで冷蔵庫のドアを開閉する時のような気密性を感じる事で有る。この気密性が夏は冷気を、冬は暖気が漏れる事を守っている。

 旱魃、熱波などの長期気候変動にはその気密性が暑い外気の浸入を防ぐ。台風、ハリケーン、竜巻などの被害は、まず建物の隙間や弱い窓から侵入した多量の水分を含んだ風が、建築物の空間に入り込み次々と弱い部分を壊して行き、大きな被害に繋がる事が分かった。高気密建築は長時間にわたり耐久性を発揮する。

 また、雨水利用の為の雨水タンクを備えた建築物が多数建築される事により、都市型の集中豪雨を一次受け止める遊水池の役割を果たしコミュニティーの被害を軽減できる。

 グリーン建築の堅牢性から耐震性も高いと推測されている。

 今回の研究報告はグリーン建築が、省エネ、健康、快適に加えて安心・安全にも向いている事をアピールする内容となっている。建築基準をグリーン建築にすることは安全・安心のコミュニティー作りにもなる。

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