ダンテの森    
03 Mar 2012   03:52:01 pm
世界のグリーン都市
異なるテクノロジーの統合がカギ

 現在世界人口70億人の52%は都市部に生活している。この割合はますます増加の一途をたどっており2050年には70%になると推測されている。

 このたびラックスリサーチは世界の7つの都市を持続可能都市のモデルとして選んだ。報告書によると「未来都市が調和しているか不経済か、持続可能か不安定かを判断するのにはテクノロジーが重要なキーを握る。異なるテクノロジー分野が統合された力でのみ、人口増加が抱える難問を軽減しながら持続可能社会形成が可能である。」としている。

 グリーンビズ・グループではこのビジョンをVERGE都市と呼んでいる。

シンガポール この都市は200以上の企業のITハブが集まっており、グリーンビル、グリーン交通、水資源利用、スマートグリッド・プログラムにより持続可能社会を目指している。これらの中心的役割を果たしている企業には、シーメンス、アクセンチュァ、ダイムラー、三菱、シュナイダ―、オラクル、IBM、HP、JTC、フィリップスが含まれている。

アムステルダム 数々の強力な持続可能社会への目標設定以外に、2009年にこの都市はEU最初のスマート都市となった。IBM、シスコ、フィリップスが市と共同でプロジェクトを進めている。

ストックホルム 歴史的なエコ都市の模範である。この都市のフラッグシップとも言えるプロジェクトはHammarby Sjostadである。エネルギー、水資源、廃棄物管理を集約したシステムで行っている。これにはスエ―デン政府、IBM、エリクソン、エシェレオン、ランディアンドギル、アキュメトリクスが参加している。

 この他、米国コロラド州のスマートグリッドシティ、マスダール(当ブログ12月23日)、インチョン自由経済区、ポルトガルのプラントTバレーが選ばれた。(GreenBiz.comより)

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02 Mar 2012   11:06:21 pm
ファクター5の実現
すぐに持続可能社会が作れる国のアライアンスを

 2月29日のフォン・ヴァイツゼッカー教授の講演の概要である。

 もし今日のトピックが気候変動、資源とエネルギーの使い方、地球と人類の持続可能な社会についてであるとするならば、持続可能な開発とは何かを知る必要がある。

 持続可能性とは小さな環境負荷で高い生活水準を維持する事で有る。

 もし、現在の70億人が10億人の先進国(OECD諸国)と同じ生活をしていたとするなら地球が5個あっても足りない。

エネルギー消費は
―電気自動車を再生可能エネルギーで充電して使う。
―建築物をパッシブハウスにする。
―建築物を外断熱にする。
―セメントはポートランドセメントをやめてジオポリマーセメントにする。
―車なしで生活できるグリーン都市計画にする。
―地産地消で運送システムをも直す。
―農業の省エネ、省水を行う。
―鉄鋼石からの製鉄を止め鉄くずからの製鉄に変える。
―他の地下資源の掘削を止め資源のリサイクルを行う。
等で80%を削減が可能である。

 しかし、この省資源・省エネ革命は自分からはやってこない。もし、市場経済に任せるなら決して正しい方向には進まない。かと言って、お役所の縦割り行政に任せてはいられない。

 価格にこの働きをさせてはどうであろうか? 価格は力を持っている。それには人工的に資源とエネルギーの価格高騰を制御する政治の力が必要である。

 省エネをきちんと把握したうえで適正な価格を設定する事で同一サービスに対する対価は安定したものとなる。(最貧の人達には別途セーフティーネットが必要)

 エネルギー価格が上昇させる事で持続可能性社会の経済が回り始める。

 これを出来る国同士がアライアンスを組んで早々に始めるべきである。遅れてくる国を待つ必要は無い。彼らはいずれついてくる。
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01 Mar 2012   08:17:03 am
シンポジウム報告
期待される学際を超えた名古屋大学環境学研究科の存在

 2月27日から名古屋大学環境学研究科の主催で開かれていたグローバルCOE(臨床環境学)のシンポジウムを取材してきた。

 最終日の昨日29日は、野依記念ホールでの「地球に優しい資源・エネルギー利用へ −東日本大震災から1年」をテーマに特別公開講演会であった。

 林良嗣教授の総合司会で開会され、今回のテーマと登壇者の紹介が行われた。プリンストン大学の眞鍋淑朗教授は専門の気象学から地球温暖化は実際に起きていると言う証明がなされ、その原因は人間の活動によるCO2の排出であり、現在の各地で発生している異常気象の原因にもなっているとの話があった。

 続いてマックスプランク研究所のハンス・ペーター・デュール教授は人間が地下資源を使っているのは環境が埋蔵した資源を盗んでいるのであって、人間は早くそれをやめて無限に降り注いでる太陽のエネルギーだけで生活できるシステムを作るべきであるとの話をされ、専門の核エネルギーは地下資源の代替エネルギーにはならない、何故ならウランも地下資源だからだと結論した。

 エルンスト・ウルリッヒ・フォン・ヴァイツゼッカー教授はファクター5に書かれている現在の資源の使用効率を5倍に上げて資源の使用を1/5に減らす事が最短の方法で、その方法は既に存在している。それでも足りない場合は再生可能エネルギーを使えば良いと話した。

 最後に東京大学の米本昌平教授は環境問題と国際政治の関係を論じ、領域を超えて環境問題に取り組む事が肝要であると話した。

 最後に中日新聞社論説員の飯尾歩氏をモデレーターにパネルディスカッションが行われた。今回のテーマ「地球に優しい資源・エネルギー利用へ −東日本大震災から1年」に対し2人のドイツからの先生は明らかに反原発の姿勢を示していたが、日本人の先生からは科学的にきちんとした評価を行った上で検討されるべきとする立場であった。

 今年で発足10年目を迎えた名古屋大学環境学研究科は自然科学、社会科学と言う学際を超えて地球環境問題を研究する大学院研究科であるが、ますますの今後の活躍を期待したい。

 今回お世話になった林良嗣教授にブログ上を借りて心からお礼を申し上げます。
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29 Feb 2012   06:10:38 am
基礎・臨床環境学
世界から50人余りの環境の研究者達が集まって会議

 一昨日(2月27日)から名古屋大学で開かれている「地球学からの基礎・臨床環境学への展開」と言う国際会議を取材させてもらっている。この会議のアドバイザーの一人としてファクター5の著者のフォン・ヴァイツゼッカー教授が来ているからだ。世界から50人余りの環境の研究者達が集まって喧々諤々の真剣な討議が続いている。

 環境の問題は余りにも大きく専門分野別に議論するのは目の見えない人が象を手で触って象とはこういうものだと言っているようなもので、環境問題の一面は正しく捉えていたとしてもそれが問題の全体を明らかにする事にはならない。瀕死の状態にある環境(地球)を丁度重病患者を医師団が診断するようにそれぞれの専門分野ごとに診断した結果を持ち寄って最高の治療法をみつけるような学問が基礎・臨床環境学であると思う。

 今日のディスカッションでドイツの研究者が地域計画について発表していたがその中で異なる行政機関や異なるレベル(県、市、町、村)の議会を問題解決を必要としている地域として統合して取り組む事が大切であると訴えていた。それに対し日本では行政の縦割りの弊害が大きく、今緊急テーマとなっている東北復興でさえ統合はむずかしいと言う話が出ていた。環境問題は行政区分や所轄省庁別と言った区分けは無い。日本の研究者が言っていたが災害も環境問題も問題の本質は同じで、その時間軸が違うだけだと言うのは、その通りだと思った。急激に環境が変化する事を我々は災害と呼んでいるだけである。

 環境(地球)が無ければぼくたちは生きて行けないが、ぼくたちが居なくても地球は生きて行けると言う事を忘れてはならないと思った。それに、世界から集まった研究者が真剣に環境の事を話し合っているのを目の当たりにして、人間の英知で解決できるのだとの確信を強くした。

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28 Feb 2012   05:59:35 am
イケアの持続可能戦略
持続可能性原材料でリサイクル可能が目標

グリーンビズ(GreenBiz.com)のイケアの持続可能性最高責任者(CSO)スティーブ・ハワード(Steve Howard)へのインタビューから。2012年2月23日

 イケアはコットンと木材の2大原材料に挑戦を始めた。社の方針IWayに基づき環境的、社会的な必要条件を満たした供給元からしか購入しない。この供給管理システムは10年以上の実績とその間に165,000以上の改善が重ねられてきたシステムである。本年の目標は企業コンプライアンスの100%遵守である。これは妥当な報酬を支払っている事、水資源を保護し、大気汚染の緩和の為に植林をしている事などである。社内には80人の環境監査要員が居り供給元を監査している。人員は何時でも必要と有れば増員出来る体制にある。

 コットンは大変に環境負荷の大きな作物である。今日イケアは24%を持続可能な供給源からの供給を受けているが2015年にはこれを100%にする。綿花栽培は労働資源、水資源、殺虫剤と肥料と言う資源集約型の作物である。我々は世界野生生物資金(World Wildlife Fund)と共に綿花栽培における水の使用量削減に努めてきた。農家が水の使用量を1/2にすると、殺虫剤の使用量は1/2になり、肥料の使用量は1/3になり、収量は増加する事が分かっている。これまでの悪循環を切る事で綿花農家が貧困から抜け出す事が可能になってきている。

 木材でも全く同じアプローチを行っている。木材の供給元が持続可能性の条件を満たしているかどうかは森林管理協議会(Forest Stewardship Council)の証明が有る事を条件にしている。2017年には1千万立方メートルの材木を証明の有る供給元から入れている。これはイケアの全量の50%に当る。

 イケアは低価格の家具を大量に販売しているものと思われているが、2015年までには全ての家具をリサイクル可能なデザインにして行く。そしてその原材料は100%持続可能性の供給元からの供給だ。けっして安価だから使い捨てと言うものではない。
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