ダンテの森    
07 Feb 2012   05:56:08 am
ZEBゼロエネルギービル
日本にもあるゼロ・エネルギー・ビル計画

 経産省は2009年11月に業務用ビルをパッシブ・ソーラー設計等の先端技術で省エネ化を行い、付帯の設備による再生可能エネルギー活用でビル全体として年間の一次エネルギー消費が正味(ネット)でゼロあるいはゼロに近いビルを目指す「ZEB(ネット・ゼロ・エネルギー・ビル)」の提言を行っている。

ZEBは例えば次のような技術により省エネを行う。
■パッシブ建築の最適導入(外気を利用した夜間冷房など)
■天気変化に即応するブラインドと照明、さらには昼光利用に伴う冷房負荷増大も加味したブラインド・照明・空調の最適統合制御
■セキュリティー情報(人の入退室情報)を活用した照明・空調・OA機器制御
■個人(タスク)と周囲(アンビエント)を分割した照明・空調

その為には、
◆エネルギーの面的利用:複数のビル群のネットワーク化によるエネルギーの有効利用。
◆都市の未利用エネルギーの活用:河川熱、下水熱などのヒートポンプ利用。
◆テナントビル:オーナーとテナントのインセンティブ乖離、汎用性を確保する必要性(自社ビルのような思い切った省エネ設計が難しい)といった課題への対応。
◆標準化:統合制御を可能とするための設備・機器間のインターフェースやデータ仕様の標準化。
を必要とする。

 しかし、この提言は旧自民・公明連立政権下で策定されたものである性か、2009年9月に政権を取った民主党は余り熱心では無いようで、その後積極的に推進されている様子が無いのは残念である。持続可能社会は政党のパワーゲームには関係なく推進されなければならないものだ。

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06 Feb 2012   06:34:09 am
マネーと原油価格
原油へのマネーの投資がリーマンショックの原因であった

 原油の価格が上昇すると、石油鉱脈の探索技術が強化され新たな石油鉱脈が開発されていった。そして同時に国家、企業、個人において省エネの動きが見られた。これは2度の世界大戦直後と、1970年代と2000年からの原油価格の高騰の頃に見られた。

 1970年の第一次オイルショックで学習した省エネはその後15年間にわたり産業経済の安定化のキーファクターとして寄与した。

 1998年に1バレル9ドルであった原油価格は2000年には35ドルを超えその後100ドルに値上がりを続けているが、その理由は中国とインドの需要増加によるものである。

 2005〜2008年の原油価格の異常な上昇は原油市場の通常の価格変動では無く、機関投資家による投機の為の値上がりであった。投資先を原油市場に見出したマネーは彼らにしてみれば僅か1%程を原油市場に振りあてただけであったが、原油価格は大きく釣り上った。当時、ある投資家は原油の値上がりは更に続き1バレル150ドルも夢ではないと語っていた。

 しかし、マネーによる原油価格の吊り上げは、アメリカのガソリン価格を3倍にした。サブプライムローンで郊外に住宅を買い、やはりローンで買った御自慢のSUVで通勤をしていた人達はガソリン代の天井知らずの値上がりに嫌気がさし、郊外の建売住宅の人気はガタ落ちとなり住宅価格は急激に下落した。住宅価格の将来の値上がりを見越して組まれるサブプライムローンは成り立たなくなり破綻し、リーマンブラザースの破綻へと繋がる。マネーの商品相場への投資が世界金融危機を招いた。
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05 Feb 2012   06:10:05 am
原材料価格の歴史
下がり続けた原材料価格が地球温暖化を促進

 驚く事にエネルギー資源を含む原材料の価格は過去200年間下がり続けている。(図)

 価格は市場経済における最も重要な要素である事は承知だが、価格の低下が人々の省エネ・省資源に対する意識を弱めて来た事は確かである。

 図を見ると、過去の大戦の度に価格が高騰していた事が分かる。1973〜1982年と2000〜2008年にも上昇傾向が見られている。このグラフの最後は2004年で終わっているが最後の跳ね上がった尻尾に続いて2008年まで上昇トレンドが続いている。この価格上昇が見られる頃には資源枯渇の信号が発せられていた事が分かるが、全体的には下落のトレンドを見せ、あたかも資源は無限に有るかのようなメッセージを出しているかのように見える。2008年のリーマンショックは過去にないほどの市場価格の下落を招いた。

 これに対抗する策について議論をする前に、何故原材料の価格は下落するのかを政治の構造から述べてみたい。産業にとって原材料価格が低い事は好ましいことである。競争には低価格が絶対条件となる。政治家にとっては低価格は消費者にも企業家にも喜ばれる好材料である。

 この様な政治判断の典型的なものは過去のソ連に見られた。自然環境から得られるものは空気や水のように全て、もともと人民のものであるので価格など付けようが無いとした。この考え方からは省エネや省資源と言う考えは生まれない。その結果は壮大な無駄を生む巨大産業であった。巨大な資源消費の化け物の様な産業は国際競争に負けソ連経済は行き詰まった。

 もちろん、長年にわたる資源価格の下落は政治によるものだけではない。地下資源の採掘技術、地下資源発掘技術、石油精製技術の発展など技術革新も大いに寄与している。

 学者たちは地下資源の枯渇を問題にはしていたが、化石燃料を汲み上げる事による地球温暖化に警鐘を鳴らすのは躊躇し続けていた。

 その結果ぼくたちの「奇跡の惑星」には一刻の余裕もなくなってしまった。
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04 Feb 2012   09:17:12 pm
ドイツのパッシブハウス
欧州で広まるパッシブハウス

 パッシブハウスはファクターファイブの概念を実現した省エネ建築の基準で、欧州ではかなり広まっている。日本にもパッシブハウス・ジャパン( passivehouse-japan.jimdo.com )が設立されている。この基準で建てられた超省エネの住宅は、先進の技術標準で建てられた住宅の1/10のエネルギーしか消費しないファクター10を達成している。(図参照)

 パッシブハウスを設計するにはいくつかのデザインツールが必要となる。「パッシブハウス計画パッケージ(PHPP)」は設計ツールで欧州ではドイツ、オーストリア、スイスの100以上のプロジェクトで使用されており結果として70〜90%の省エネを達成している。このソフトウエアについては上記のパッシブハウス・ジャパンのホームページに詳しい。

パッシブハウスの特徴

■パッシブソーラーデザイン
外気との接触面積を最小にする設計と太陽光熱を取り入れたり遮断する事をデザインに取り入れた設計。
■超高性能断熱
パッシブ建築物は超高性能の断熱材を用いて壁、屋根、床からの熱の輻射、伝搬を断熱する。その為各所に適した断熱材を使用する。特に熱ブリッジに配慮をする。
■先端技術の断熱窓
3層あるいは2層のガラスやガス封入ペアガラスと熱ブリッジを排した構造の窓フレームで高い断熱効果を持つ窓枠メーカーがオーストリア、ドイツ、スイス、ベルギー、チェコに約50社あり高断熱窓の市場を形成している。
■壁内隙間の最小化
外断熱で外気温を遮断し壁内の隙間に冷暖房の空気流を流すパッシブハウスでは、より気密性の高い壁構造により隙間を小さくすることで流れる空気の量を減らし、空気循環モーターの電力使用量を下げることができる。
■熱回収型換気
1時間に0.4回と言う気密度高い住宅では強制換気が必要であるが、直接外気を取り込むのではなく熱交換器を当す事で外気を室内温度に近づけた後室内に取り込む。
■エアコン熱源の利用
熱交換器の他、厳寒時や猛暑時にはエアコンを使うがそのヒートポンプの熱源を温水供給にも使用することで省エネを行う。

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03 Feb 2012   09:45:36 pm
船舶の省エネ
技術革新が大量物流に追いつかない

 欧州委員会(EU)が1月19日に出した船舶のGHG(地球温暖化ガス)排出に関する意見の公募の記者発表の中で、世界の海運業界の努力にも拘わらず世界の船舶のGHG排出量は増加の一歩で現在3%である。このままで推移すると2050年には6%になるとしている。

 本日まで東京ビッグサイトで開かれていたスマート・エナジー・ジャパン2012で貰って来た川崎重工のパンフレットに船舶の省エネについて書かれていた。

 その一つはKawasaki RBS-F (Rudder Bulb System with Fin)と言う技術で舵に取り付けたバルブ(球状の物体)とフィン(翼)で、これによりプロペラが起こす水流の乱れを整え、プロペラの推進効率を2〜7%向上させることができる。この技術は既に100隻以上に装備されている。

 もう一つは従来の球状船首を改造したSEA-Arrow(Sharp Entrance Angle bow as an Arrow)と言うタンカーやバルクキャリア―の船首の構造を変える事で6〜10%の省エネを達成している。

 この様に新技術により船舶の省エネが進んでいるのに、それ以上に世界の物流が増加していると言う事である。地産地消を推進し世界の物流を減少させる事を指向する事で持続可能社会に近づく事ができる。

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